去る9月13日、アップルはiPhone5を発表した。本連載でも触れたとおり、最新鋭のA6チップを搭載し、高速通信規格のLTEにも対応する。画面も大きくなり、電池の保ちも改善されたという。

 私はまだ手に取ったわけではないが、それでも素晴らしい端末であることは概ね分かる。おそらく今回も相当数が売れるだろう。特にiPhone4Sの導入を控えていたユーザにとっては、絶好の買い替えの機会到来である。

 日本の通信事業者も今回は相当本気だ。iPhoneのリリースで先行したソフトバンクモバイルはもちろん、KDDIもLTE対応をスケジュール前倒しで本格的に進めるという。インフラの高品質化を含め、力を入れた販売合戦が予想され、消費者にとっては喜ばしい展開である。

 一方、前回でも触れた通り、Android勢は敵失の感が若干否めない。アップルとサムスン等との訴訟は、日本市場にはまだ大きな影響を及ぼす段階ではないものの、販売現場に勢いがつかないのは否めないし、なにより端末の出来具合からいっても、iPhone5が圧倒する状況はしばらく続くだろう。

 おそらく次のiPad発表時くらいまでは、アップルは我が世の春を迎えることになるだろう。iPadも更なるアップデートが期待されており、次期製品くらいまでは、技術的な進化だけでも現状のニーズは十分満たせるだろう。

何かが違う
アップルのプレゼンテーション

 ただ、同じくアップルの発表を見ていた通信事業者や端末開発者と話をしていて、異口同音に「どうもこれまでと何かが違う」という話になった。

 まず違和感を覚えたのは、アップルのプレゼンテーションが「端末のスペック(技術的な性能)」を強調したものだったということ。