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日の丸製造業復活の狼煙か、存在意義の喪失か?
ソニー・オリンパス「弱者連合」への期待と不安

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第245回】 2012年10月2日
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シナジー効果は本当に期待できるのか?
ソニーとオリンパスが正式に提携を発表

 不正会計処理の発覚によって経営の屋台骨が揺れていたオリンパスと、ソニーの提携が正式に発表された。

 かつて、オリンパスは光学関係の高い技術を持つ優良企業だった。そのオリンパスは、今でも内視鏡などの分野では世界トップを誇っているのだが、粉飾決算の表面化でかつての名声を失った。同社との提携については、同業のテルモやパナソニックなど、手を挙げる企業は多かった。

 今回の合意によって、ソニーはオリンパスに対して500億円の出資を行ない、役員を1名派遣する予定だという。500億円の出資によって、ソニーはオリンパス株式の10%以上を握る筆頭株主になる。

 それと同時に両社は、内視鏡やカメラ、さらにはイメージセンサーなど光学部品などの分野で、共同のビジネス展開を目指す予定だ。両社の提携合意の背景には、内視鏡など光学関係の新製品開発やカメラの部品共同化などによってコストを削減しながら、新分野への展開などのシナジー効果を生みたいという意思が見える。

 そうした提携のプラス面が見込まれる一方、業界専門家の一部には、「両社の提携には大きなマイナス面もある」との見方もある。テレビ事業の不振などによって、ソニー自体のブランド力の低下はかなり鮮明になっており、最近では目立った新製品もない。

 そのソニーと、粉飾決算事件の影響で経営状態が悪化したオリンパスが組むことについては、「“弱者連合”をつくるだけ」との指摘もある。

 確かに、提携によってコストカットなどの合理化だけに目が行ってしまうと、今後、積極的な事業展開を期待することは難しい。また、提携によって組織内の管理部門が肥大化するようなことがあると、“モノづくり”のカルチャーを殺してしまうことにもなりかねない。

 今回の提携によって、“世界で一番新しいモノを最初につくる”という理念を、ソニーがどこまで取り戻すことができるかが、重要な鍵を握ることになる。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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