どうも政治・経済の様子がおかしい
専門家も危ぶみ始めた「中国の変調」

 足もとで、中国経済の変調を扱う記事が増えている。欧米のエコノミスト連中も、「中国経済はどうなっているのか?」というメールを筆者に送ってくることが多い。

 彼らが頻繁にメールしてくる背景には、「どうも、中国の政治・経済の様子がおかしい」という感覚がある。要するに、中国に何か変化が起きているのだが、その変化の影響度合いが良くつかめないのである。

 2008年9月のリーマンショック以降、中国経済は政府の4兆元に上る大規模な景気対策の効果によって成長を続け、つい最近まで世界経済を牽引する役割を担ってきた。ところが、その経済対策の効果は今年前半までにほぼ消えた。

 それと同時に、最大の輸出先である欧州経済の低迷によって輸出が伸び悩み、経済活動全般が低下した。

 そうした状況に対して、中国の政策当局は金融政策を緩和気味に展開して、景気を刺激することを意図した。しかし、金融政策を変えたにもかかわらず、景気減速には歯止めがかからず、株価下落に目立った効果は表れなかった。9月に入って、中国政府はようやく1兆元の財政出動を行なうことを決めた。

 おそらく、今年の始めに多くの経済専門家は、「中国景気の減速が顕在化すれば、すぐに中国政府が財政出動をする」と予想していた。少なくとも、年央には何らかの対策が打たれると見ていた。

 ところが、実際の財政出動は9月に入ってからだった。政策運営が遅れた背景には、4兆元の経済対策が供給能力の拡大をもたらし、結果として、国内の需要拡大につながらなかったという反省があると見られる。

 政策発動の遅れに関して、もう1つの懸念は、中国の政治情勢の不安定化があるとの指摘もある。その指摘が正しいとすると、中国経済の問題の根は深いことになる。