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相川俊英の地方自治“腰砕け”通信記

県の“ダメ出し攻撃”に晒された県民投票条例案
浜岡原発の再稼働をめぐる静岡の攻防戦

相川俊英 [ジャーナリスト]
【第54回】 2012年10月10日
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「これでは意思表明などできやしない」
浜岡原発再稼働の是非を問う住民の焦り

 「これでは直接請求権は実質的に使えない。自分たちの意思を表明することが、なぜ、できないのか。もどかしさを感じる」

 静岡の住民グループ「原発県民投票静岡」の鈴木望・共同代表が、悲憤慷慨する。そして、「我々は第1条と第2条さえ実現されればよいので、修正してほしいと言っているのですが……」と、嘆く。

 確かに、執拗に難癖をつけられているような感が拭えない。鈴木さんたちは、こんな紆余曲折を辿っていた。

 静岡県内でこの夏、浜岡原発の再稼働を県民投票で問おうという署名活動が展開された。活動を行なったのは、鈴木さんらの住民グループである。

 県民投票条例の制定を求める直接請求で、16万5127人分の署名が集まった。法定数(県内有権者数の50分の1以上)を10万余りも上回るものだった。これにより、住民グループが作成した条例案は、県知事の意見を添付したうえで、県議会に提出されることになった。

 条例制定の直接請求は、住民に対し議会への提案権を認めたものにすぎず、条例案を成立させるか否かの最終決定権は議会にある。

 「議会が我々の意見に耳を傾けないので、直接請求によって民意を反映させよう」と語る人がよくいるが、直接請求された条例案の生殺与奪を握っているのも、議会である。

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相川俊英 [ジャーナリスト]

1956年群馬県生まれ。放送記者を経て、1992年にフリージャーナリストに。地方自治体の取材で全国を歩き回る。97年から『週刊ダイヤモンド』委嘱記者となり、99年からテレビの報道番組『サンデープロジェクト』の特集担当レポーター。主な著書に『長野オリンピック騒動記』など。


相川俊英の地方自治“腰砕け”通信記

国政の混乱が極まるなか、事態打開の切り札として期待される「地方分権」。だが、肝心の地方自治の最前線は、ボイコット市長や勘違い知事の暴走、貴族化する議員など、お寒いエピソードのオンパレードだ。これでは地方発日本再生も夢のまた夢。ベテラン・ジャーナリストが警鐘を鳴らす!

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