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ビジネスマンのための中国経済事情の読み方

中国が靖国参拝を絶対に認めないシンプルな理屈

──チベットと靖国に見る 中国の本音と建前【後編:靖国問題】

高田勝巳 [アクアビジネスコンサルティング代表取締役]
【第13回】 2008年4月17日
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 前回は「チベット問題」について、中国の本音と建て前という視点で述べてきました。今回はその【後編】として「靖国問題」を取り上げます。この2つの問題、ともに政治と宗教、政治と心の問題という意味で共通点があります。

 「靖国問題」──この問題は、日本人にとって、政治と宗教、心の問題にどう折り合いをつけるかと言った問題です。

中国が首相の靖国参拝を
認めない理由はシンプル

 この問題、実は中国にとってはきわめてシンプルな問題です。

1.A級戦犯=軍国主義者

2.靖国参拝=軍国主義肯定

3. 軍国主義肯定=(日本軍国主義と戦って勝利した)中国共産党の正統性否定

4.中国共産党の正統性否定=中国共産党支配崩壊のおそれ

 ということで、中国共産党率いる中国としては、首相の靖国参拝は、理論的には、絶対に認められないことです。かつての中曽根首相が、中国の圧力に屈して(または、胡躍邦を助けるためか)参拝をやめてしまったことは、中国から見れば、日本は間接的に、A級戦犯=軍国主義という最初のポイントを認めてしまったということになるわけです。ですから、中国としてはこれまでこの前提で来たので原理原則では妥協できないと考えています。極めてシンプルな構造なのです。

「国際政治の現実」と「心の問題」
日本人はどう折り合いをつけるか?

 ところが日本にとってはとても複雑なようです。

1.先の大戦に対する評価が日本国内で定まっていない。

2.日本の政治家にとって遺族会と言う大票田の意向を無視できない。

3.日本人の宗教観として、いかなる理由にせよすでに亡くなった人に対する批判はよしとしない。それに対し、中国から批判されることに対し、大いなる違和感がある。

4.日本の政治家、政府はこうした問題に対し、正面から取り上げることはせず、常に問題の先送りに徹してきたため、日本国内でもなんともいえない鬱積した感情が残っている。

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高田勝巳 [アクアビジネスコンサルティング代表取締役]

上海在住15年。日系企業の中国ビジネス構築を支援しながら、中国経済の動向を「現地の視点・鋭い分析・分かりやすい言葉」をモットーにメディア等を通して日本に発信している。三菱銀行(現・三菱東京UFJ銀行)本部証券部門、上海支店等を経て2002年より現職。主な著書に『中国株式市場の真実』(共著・ダイヤモンド社刊)がある。
アクアビジネスコンサルティング ホームページ


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長年中国に住み、現地企業や政府と接してきた著者が贈る中国リポート。ニュースではわからない、現地で暮らしているからこそ見えてくる“リアルな中国”を紹介する。

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