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野口悠紀雄の「経済大転換論」

国家は破綻するか?

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第41回】 2012年11月1日
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 カーメン・M・ラインハートとケネス・S・ロゴフの『国家は破綻する――金融危機の800年』(村井章子訳、日経BP社、2011年3月)が注目を集めている。

 本書は、過去に起きた金融危機と国家債務危機を、1800年以降を中心とする長期的なデータを(場合によっては1400年代も含めて)蒐集し、分析したものだ。本来は専門書だが、平易に書かれているので、金融や経済に対する予備知識がなくても読める。そして、扱っているテーマは、現在の世界が直面している最大の問題に関するものだ。だから、広く読まれて然るべき著作と思われる。

 ただし、本書の主張に対しては、いくつかの疑問点がある。とくに日本に関する部分がそうだ。それらについて、以下に述べることとしよう。

国家破綻は
よくあること

 本書の主張は、つぎの2点だ。

 第1に、歴史的に見れば、国家の破綻はよくあることだ。銀行危機が通貨暴落とインフレを引き起こし、これを経由して対外債務・対内債務のデフォルトが起こる。これが、800年間の金融の歴史だ。銀行危機は、どんな国にも起こる「機会均等」の脅威であり、「今回は違う」ということはあり得ない(本書の原題“This time is different”は、そこから取られている)。

 理論的に考えると、国内債務によってデフォルトする国は存在しない。しかし現実には、かなり頻繁に起こっている。1800 年以降で、少なくとも70件以上は起きている。そして、この数字は控えめだと著者たちは言う。

 これは、データが示すとおりの事実だ。

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野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

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野口悠紀雄の「経済大転換論」

日本経済は今、戦後もっとも大きな転換期にさしかかっている。日本の成長を支えてきた自動車業界や電機業界などの製造業の衰退は著しく、人口減や高齢化も進む。日本経済の前提が大きく崩れている今、日本経済はどう転換すべきなのだろうか。野口悠紀雄氏が解説する。

「野口悠紀雄の「経済大転換論」」

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