「情報公開は一丁目一番地」はどこへ?
敵を攻撃する時だけ、完全な状態で開示

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 この事実を知った私は、さもありなんと思わざるを得なかった。口ではいつも情報公開の重要性を強調するくせに、自分にとって都合の悪い情報は隠し通す小池知事の本質を見た思いがしたからである。

 5年前の2016年、初当選を果たした小池知事は、「情報公開は都政の一丁目一番地」と豪語して、それまで都政を牛耳ってきた石原慎太郎元知事や、都議会自民党などの意思決定を「ブラックボックス」と攻撃した。

 そのせいもあって、一時期、都の情報公開が進み、都民に開かれた行政運営が始まったかにみえた。

 実際、築地市場の豊洲への移転問題が注目を集めていたころ、移転先の土地を持っていた東京ガスと、都の間での過去の交渉に関する記録が、ほぼ完全な状態で開示された。

 だが、この記録を元に追及されたのは、石原元知事の腹心だった浜渦武生元副知事ら、自身がターゲットとして攻撃してきた関係者だった。

 要するに、小池知事が積極的に公開する情報はあくまで、公開することが自分にとって有利に働く場合、つまり、自分の敵が痛手を負うケースに限られる。