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出口治明の提言:日本の優先順位

大学にもインセンティブを!
予算やお金の面から考える教育改革

出口治明 [ライフネット生命保険(株)代表取締役会長]
【第68回】 2012年11月13日
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 田中文科相の新設大学認可を巡る一連の騒動は、擦った揉んだの末に、ひとまず、常識的な線に落ち着いたように思われる。しかし、少子高齢化にもかかわらず、年々大学の新設が認可され、大学数が増え続けていくことに、一抹の疑問を抱く向きは少なくない。わが国の現在の大学の在り方について、100%納得している市民は、恐らく決して多くはないであろう。今回は、大学改革について考えてみたい。

予算は大学にではなく
学生につけるべき

 わが国の大学には、大量の国費(税金)が投入されている。文科省のHP(大学関係者の皆様へ)によると、今年の大学関係予算は、総計でおよそ2兆円近くにのぼる。在学者数は約300万人であるから、1人当たり、約65万円の税金が費消されている計算になる。

 わが国の大学等進学率は57.6%(2011年)、これに対して、アメリカの進学率(フルタイム)は54.5%(2008年)、英国の進学率(フルタイム)は66.1%(2008年)、フランスは41.0%(2009年)、ドイツは26.5%(2009年)であるから、わが国の大学の数自体は、決して少ない訳ではない。

 また、大学に対する公財政支出の投入割合を見ると(2008年)、わが国の0.5%(対GDP、これに加えて私費負担が1.0%)に対して、アメリカが1.0%(私費負担1.7%。以下同じ)、英国が0.6%(0.6%)、フランスが1.2%(0.2%)、ドイツが1.0%(0.2%)となっているので、わが国の高等教育費の水準自体は、欧州諸国と比べればそれほど大差はないが、公財政支出と私費負担の割合が、欧州諸国とは逆転していることが読み取れよう。

 このように見てくると、大学に対する公財政支出は、将来的には増やす方向で検討すべきだと思われるが、現下のわが国の厳しい財政状況を勘案すれば、まずは、現行の約2兆円をより効率的に使うことが、何よりも肝要であろう(以上の数値データは、何れも文科省HP「教育指標の国際比較」(平成24(2012)年版)による)。

 それでは、どのようにすればいいか。国立大学と私立大学とをどのように按分するか、いくつか割り切らなければならない技術的な問題はあるが、原則として、予算を大学にではなく、学生につければいいと考える。すなわち、前年の学生の在籍数に比例して、予算を配分するのである。

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出口治明 [ライフネット生命保険(株)代表取締役会長]

1948年、三重県美杉村生まれ。上野高校、京都大学法学部を卒業。1972年、日本生命保険相互会社入社。企画部や財務企画部にて経営企画を担当。生命保険協会の初代財務企画専門委員会委員長として、金融制度改革・保険業法の改正に従事。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て同社を退職。その後、東京大学総長室アドバイザー、早稲田大学大学院講師などを務める。2006年にネットライフ企画株式会社設立、代表取締役就任。2008年に生命保険業免許取得に伴い、ライフネット生命保険株式会社に社名を変更、同社代表取締役社長に就任。2013年6月24日より現職。主な著書に『百年たっても後悔しない仕事のやり方』『生命保険はだれのものか』『直球勝負の会社』(以上、ダイヤモンド社)、『生命保険入門 新版』(岩波書店)、『「思考軸」をつくれ』(英治出版)、『ライフネット生命社長の常識破りの思考法』(日本能率協会マネジメントセンター)がある。

ライフネット生命HP

 


出口治明の提言:日本の優先順位

東日本大地震による被害は未曾有のものであり、日本はいま戦後最大の試練を迎えている。被災した人の生活、原発事故への対応、電力不足への対応……。これら社会全体としてやるべき課題は山積だ。この状況下で、いま何を優先すべきか。ライフネット生命の会長兼CEOであり、卓越した国際的視野と歴史観をもつ出口治明氏が、いま日本が抱える問題の本質とその解決策を語る。

「出口治明の提言:日本の優先順位」

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