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四川大地震が中国経済を揺るがす「震源」になる理由

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第29回】 2008年5月20日
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 5月12日、中国西部の四川省が震源となり、マグニチュード7.8の大地震が発生した。中国政府は、温家宝首相を即日現地入りさせ、災害対策の陣頭指揮を行う体制を取っている。

 しかし、交通網が寸断され、救援部隊の到着が遅れていることなどもあり、今のところ救援・復興の作業ははかどらない。四川省の被災者だけでも、1000万人を越える莫大な被害に発展すると報道されている。それに伴い、一部の国民感情も悪化していると言われている。

 大地震の発生地が内陸部のチベット族が多く住む地域であることや、同地域の農業生産が大打撃を受けることなどを考えると、今回の災害が中国経済に与える影響は無視できない。国内外に様々な問題を抱える中国政府にとって、また1つ頭の痛い問題が増えたことになるだろう。

救援遅滞と国民感情悪化は
「厄介な問題」

 中国政府にとって、発生地や発生のタイミングを考えると、今回の大地震はかなり厄介な問題だ。地震が発生したのは、内陸部の四川省=チベット族の多い地域だ。それでなくても当該地域は、チベットでの暴動やダライ・ラマ14世との交渉などで、世界中から注目を集めている。中国政府がどのような対策を立てて、それをいかに実行するか、その一挙手一投足に、世界の厳しい目が注がれている。

 しかも、発生のタイミングがいかにも悪い。北京オリンピックまで、僅か数月前に、これだけの天災が起こってしまったのだ。中国政府としては、同地域への救援と復興作業に最大限の努力を行なうことを、国内外に示すことが必要になる。実際、中国国営放送は、連日現地での温首相の救援活動を、異例の時間を割いて放送しているという。

 しかし、報道によると、現地での救援活動は思ったほど進んでいないようだ。依然、災害状況は悪化の一途を辿っており、多くの人々が、瓦礫の下で救援を待ったり、路上での生活を余儀なくされているという。そうした状況に対して、国民の感情は、かなり被災地に同情的になっており、政府に対する不満や苛立ちが目立ち始めているようだ。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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