自動車市場を調べると一口に言っても、市場全体の規模からはじまり、該当自動車メーカーの強みや弱み、競合の状況、顧客の意識など、様々なデータがあります。しかし、2週間で市場の動向を網羅するには時間が限られています。

 一体何をしたらいいの? ちょっと焦りもあった私は、まずは、どんな販売戦略にすべきかを明確にするために、必要となる市場の規模、成長度合い、顧客の状況などの市場動向を自分なりにブレークダウンしたリストアップ表を持って、マネージャーと打ち合わせをしたのです。なぜ販売戦略を明確にしようと思ったのかと言えば、自動車市場が縮小する中で、いかに売っていくかは重要な問題だろうと考えたからです。

 そのリストアップ表を見せながら、「販売戦略を明確にするためにこんな内容で市場の動向を調べようと思うのですが……」とマネージャーに相談をしました。

 すると、マネージャーからは、こんな言葉が──。

「大嶋さん、これじゃ自動車白書と変わらないよね。本当に販売戦略が真の問題なのかな? そもそも自動車メーカーが直面している重要な課題とは何か、自分なりに考えてよ。まず、問題を構造化して真の問題は何かを明確にし、そしてクライアントがどうなったらいいのか? 販売戦略が本当にイシュー(重要な課題)になるのか? そんな意識を持って資料をつくってくれないかな」

 えっ、真の問題って? 問題の構造化? イシュー?

 私は自分の考えていた「問題解決」が、どうやら見当違いだったことに気づかされました。それどころか、そもそも「問題解決」とは何をすることかすら、わかっていなかったことに愕然としました。