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加藤嘉一の「だったら、お前がやれ!Ⅱ」思考停止のニッポンをぶった切る

熱狂の総選挙に世界は冷視線
教育改革こそ温度差を埋める

加藤嘉一
【第11回】 2012年12月3日
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「日本は何がしたいのか」

 「もう、いいよ」

 「どうせまた同じことの繰り返しなんだから」

 「新しい変化が起こるとは到底思えない」

 ここ数日間、ハーバード大学、マサチュッセツ工科大学、タフツ大学の三大学で、日本の政治・経済を専門とする、あるいは東アジアの国際関係から日本の外交的、安全保障的プレゼンスをウォッチしている複数の教授と議論してきた。「来る衆院選についてどう思うか」と尋ねると、一言目に体全身の力が抜けたような、落胆した面持ちでこれらの言葉が返ってきた。

 この中にはアメリカを代表するような長年のジャパンウォッチャーや、アメリカ人の東アジア観に影響力を持つような教授もいる。そんな彼らの目にも、「もう日本は何がしたいのか分からない」と言わせてしまうほど、日本は迷走しているように、外の世界からは見える。

 「中国と喧嘩して何になるんだ。なぜ原発か脱原発かという両極端な議論しかできないんだ。自らの国力と背丈にあった戦略を立てよう、そのための人材を育てようという方向に力が働かないのはなぜなんだ。もう私にも分からないよ」

 なかには日本を突き放すような勢いで声を荒げる教授もいた。

 学生たちに同じ質問をすると、

 「あ、そうなんですか」

 「いまの首相はどなたでしたっけ?」

 「ミスター・コイズミはとっても面白い政治家です」

 「私は宮本武蔵が好きです」

 など、昨今の政局とはあまり関係のない答えばかりを返してきた。国際関係・外交で有名なタフツ・フレッチャースクールの講師によると、「ここには世界中から学生が集まっていますが、とにかく日本の政治経済への興味が薄れています。言語も含めて、中国とは対称的です。学生たちが日本に対して関心のあるテーマはもうアニメくらいしかないですね。」

 ハーバード大学で大学院生の研究分野・活動に詳しい行政担当の先生によると、「今さら日本の政治や経済を勉強し、7~10年もかけてPh.D.(博士号)をとろうなんていう学生はほとんどいないですね。中途半端にやってもしょうがないということで、大学や教授サイドも生徒たちに勧めないんです。」

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人の波がぶつかりあい、時代のエネルギーが炸裂する。アジアでいちばん激しく、生命力があふれた国、中国。その中国で「もっとも有名な日本人」となった著者が、内側から見た人にしかわからないリアルタイムの中国を語ります。そこから見えてくるのは、中国、日本、世界の現在。日本は、そして日本人は、これからいったいどこへ向かえばいいのか。私たちの課題もみえてきます。

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加藤嘉一 

1984年生まれ。静岡県函南町出身。山梨学院大学附属高等学校卒業後、2003年、北京大学へ留学。同大学国際関係学院大学院修士課程修了。北京大学研究員、復旦大学新聞学院講座学者、慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)を経て、2012年8月に渡米。ハーバード大学フェロー(2012~2014年)、ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院客員研究員(2014〜2015年)を務めたのち、現在は北京を拠点に研究・発信を続ける。米『ニューヨーク・タイムズ』中国語版コラムニスト。日本語での単著に、『中国民主化研究』『われ日本海の橋とならん』(以上、ダイヤモンド社)、『たった独りの外交録』(晶文社)、『脱・中国論』(日経BP社)などがある。

 


加藤嘉一の「だったら、お前がやれ!Ⅱ」思考停止のニッポンをぶった切る

「だったら、お前がやれ!」

 この言葉が意味すること、それは「対案の無い無責任な批判はするな」ということだ。「自分はどう考えるのか」、そして「自分は具体的にどのような行動をとるのか――」。何かに意見するとき、加藤氏は必ず自らに問いかける。加藤氏の行動規範としているものだ。
日本社会に蔓延る無責任な論評を、加藤氏の視点で切り込み、加藤氏なりの対案や考え方を示してきた本連載のシリーズ第2弾。2012年8月に加藤氏が拠点を中国北京から、米ハーバード大学ケネディースクールへ移し、新たなチャレンジをスタートさせる。2012年4月から8月までの第1弾とはひと味違う、加藤氏の言葉をお届けする。

「加藤嘉一の「だったら、お前がやれ!Ⅱ」思考停止のニッポンをぶった切る」

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