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シュリンク業界で生き残れるか?~構造不況の迷宮で再起を図る人々 吉田典史

低収入の中高年で溢れ、時代遅れの“仕切り屋”が横行
ビルメンテナンスの現場に愛想を尽かした元ワーカー

――元ビルメンテナンス・ワーカー、佐藤義則さん(仮名)のケース

吉田典史 [ジャーナリスト]
【第14回】 2012年12月4日
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 連載第14回は、「底辺業界」とも囁かれるビルメンテンスの現場で働く、ベテランワーカーを紹介しよう。現在は求職中の身だが、かつては懸命に働く「安月給の戦士」だった。彼がこの業界に愛想を尽かした理由とは……?

 あなたは、生き残ることができるか?


今回のシュリンク業界――ビルメンテナンス

 清掃や、電気・空調・給排水などの設備管理、建物設備の保全業務、警備業務などを総称して「ビルメンテナンス」と呼ぶ。日本ビルメンテナンス協会調査によると、業界規模は2010年度で約3.5兆円。ピークの2008年と比較して約2%縮小した。

 その背景には、折からの不況の影響もあり、ビルのオーナーがビルメンテナンス会社にコストダウンを求めることが増えている影響がある。不動産への入居率の低迷、テナントの賃料値下げなどによって、オーナー企業のビジネスもまた、シュリンクを続けているのだ。

 その結果、ビルメンテナンス業界では価格競争が激しくなり、入札制度が拡大。業界として曲がり角に差しかかっている。


採用条件は「持ち家」「独身」?
低賃金で生活できないから皆辞めていく

 「私の知る限りだけど、ビルメンテナンスの中途採用試験で、面接官は受験者が持ち家であるか、独身であるかなどを確認することが多い。毎月家賃がかかる都内のマンションなどに住み、家族を養うのは、こんな給料では難しいからね……」

 ビルメンテナンス・ワーカー(以後、ビルメンと記述)として十数年勤務してきた佐藤義則さん(仮名・58歳)が、淡々と答える。

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吉田典史 [ジャーナリスト]

1967年、岐阜県大垣市生まれ。2006 年からフリー。主に人事・労務分野で取材・執筆・編集を続ける。著書に『あの日、負け組社員になった・・・』『震災死 生き証人たちの真実の告白』(共にダイヤモンド社)や、『封印された震災死』(世界文化社)など。ウェブサイトでは、ダイヤモンド社や日経BP社、プレジデント社、小学館などで執筆。


シュリンク業界で生き残れるか?~構造不況の迷宮で再起を図る人々 吉田典史

「働いても働いても、生活が楽にならない」。それは気のせいではない。日本の多くの業界は今、先が見えない「構造不況」の暗闇の中にいる。シュリンクする業界で働く人々にとって、業績アップ、収入増、労働環境の改善などを目指すことは難しい。しかし、そんななかでも、他人と違うアイディアを考案したり、誰も気づいていないビジネスを見出すことで、必死に生き延びようとする人はいる。この連載では、シュリンク業界で絶望し、起死回生を図るビジネスマンや個人事業主の生の姿を描くことを通じて、私たちがビジネスで心得るべきヒントや教訓を考えていく。

「シュリンク業界で生き残れるか?~構造不況の迷宮で再起を図る人々 吉田典史」

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