国際社会はロシアのやり方を非難し、経済制裁を行ったが、ロシアも独自の経済制裁で対抗。プーチン大統領は「ほとんどのクリミア住民とロシア国民が半島のロシア編入を支持している」と述べた。このときロシア国内でのプーチン支持率は80%に達したという。

併合後も戦闘が続き、
ついにアメリカ介入の動きも

 クリミア併合をきっかけに、ロシア系住民の多いウクライナ東部でも武力衝突が起こった。ロシアの支援を受けた親ロシア武装組織がウクライナ政府軍と戦闘を繰り広げ、泥沼の紛争へと突き進んだのである。

 2014年7月にはウクライナ東部を飛行していたマレーシア航空機が、親ロシア武装組織に撃墜され、300人近くが死亡するという衝撃的・悲劇的な事件も発生した。

 2015年2月にロシアとウクライナの間で停戦合意が成立したが、その後も戦いは続き、約1万4000人が犠牲になったとされる。

 そして2019年5月、コメディアン出身のヴロディミル・ゼレンスキーがウクライナの大統領に就任すると、東部に特別な地位を保障する和平案の履行を提案。翌年にはロシアなどとの間で完全停戦を発効させた。しかし、和平案はいまだ履行されておらず、2021年に入ってからまたしても戦闘が行われるようになってしまった。

 現在もロシアはウクライナ東部への部隊増強を進めている。アメリカはロシアを非難し、ウクライナへの支援を約束したが、アメリカの介入によって大規模な戦争に発展することも懸念される。

 いずれにせよ、ウクライナの西側への接近を、ロシアは今後も決して許さないだろう。ウクライナは難しい状況に立たされている。