「宝くじで夢を買う」のは、確率的には損でも非合理的ではない理由写真はイメージです Photo:PIXTA

宝くじは、確率的に考えれば損な取引である。「当たるに違いない」という錯覚によって買っている場合は非合理的といえるが、夢を追っているのであれば必ずしも非合理的とは言い切れない。その理由を検証してみよう。(経済評論家 塚崎公義)

宝くじは確率的には
損な取引だが…

 宝くじの購入は、確率的には損な取引である。当たる確率と当たったときにもらえる賞金額を掛け合わせると、買った金額より小さいからである。これを「期待値がマイナスの取引」と呼ぶ。

 これは、実際に計算してみるまでもないことだ。客が買った宝くじの代金と、客が受け取った当せん賞金の差額が、宝くじの販売員の給料や宝くじの印刷コストなどになっているからだ。

 つまり、宝くじを買うという行為は経済合理的ではない、ということになる。しかし、だから宝くじを買う行為が非合理的だ、とは言い切れない。なぜなら、経済合理的に生きることが人生の目的ではないからだ。

当たりそうな気がして買っているならば、
それは錯覚にすぎない

 宝くじを買っている人は、当たりそうな気がしているのだろう。少なくとも当たるかもしれないと思っている。しかし、それはおそらく錯覚だ。冷静に当たる確率を考えてみれば、よほどのことがない限り、当たるはずはないのだ。