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商社を支える“いまどき” ビジネス

倒産した林原を最終利益の5倍の金額で買収
専門商社の長瀬産業が“生活関連事業”に賭ける未来

【第7回】 2012年12月7日
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倒産した林原を買収、子会社化
長瀬産業はなぜ巨費を投じたか?

長瀬産業の東京本社

 長瀬産業、倒産した林原を買収、子会社化――。そんなニュースが商社関係者の間で話題になったのは、昨夏のことだった。

 株式会社林原は、岡山県に本社を置く知る人ぞ知る実力派企業。食品、医薬品、化学品の原料を研究、製造、販売する、バイオメーカーである。

 甘味料などに使われる糖質トレハロース、抗がん剤に使われるインターフェロンの生産・販売では、世界的なシェアを持っている。

 林原が倒産したのは2011年2月のこと。創業者一族による粉飾決算の発覚や、不動産投資などで膨張した約1400億円にも上る負債により、経営が立ちいかなくなったのだ。身から出たサビとはいえ、世界的な技術を持つ同社の倒産を惜しむ声も少なくなかった。

 そんな折、会社更生法を申請して再建を目指す林原のパートナー候補として登場したのが、大阪に本社を置く化学品専門商社の長瀬産業である。昨年8月に再建スポンサーに選定された長瀬産業は、更生手続きの認可決定を経て、今年2月に100%増資を行ない、林原を完全子会社化した。

 林原、林原生物化学研究所、林原商事のグループ中核3社は、林原に統合され、長瀬産業の傘下で事業が継承されることになった。事業用以外の資産は他の企業に譲渡、あるいは清算された。

 長瀬産業からの投融資や岡山県内に保有していた土地の売却益などにより、林原は多額の弁済原資を確保。今年3月に、倒産からわずか1年あまりという異例の速さで更生計画を終了した。

 一連の買収で話題になったのは、長瀬産業が林原の買収にかける意気込みの強さだった。長瀬産業が林原への出資・融資に投じた金額は約700億円。これは、同社が買収に名乗りを上げる前年度(2010年度)の最終利益の約5年分にも相当する。そのため、「自社の事業規模に対して過大な投資ではないか」と指摘された。

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世間一般には、「モノやサービスを仲介する仕事」と思われがちな商社だが、足もとでは、従来の価値観に囚われない事業展開を行なっている。有名なのは、世界中で需要が急増している資源・エネルギー分野のビジネスだろう。採掘から、製品化、流通・販売まで、全てのプロセスに投資を行なう各社は、資源高の恩恵を享受して、軒並み収益増に沸いている。しかし、彼らが参入しているビジネスは、こうした重厚長大分野に止まらない。時として、衣食住に関わるコモデティ分野まで深く入り込み、ビジネスの裾野を着々と広げている。この連載では、商社の屋台骨を支える「いまどきビジネス」を詳しく紹介しながら、日本企業が新しいビジネスを生み出すためのヒントを考える。

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