藤原和博氏が教える、100万人に1人の存在になるための「掛け算戦略」藤原和博(ふじはら・かずひろ)/教育改革実践家。1955年東京生まれ。東京大学経済学部卒業後、リクルート入社。96年に同社初のフェロー(年俸契約の客員社員)となる。2003年より5年間、杉並区立和田中学校で東京都初の中学校の民間人校長を務めた後、大阪府特別顧問、武雄市特別顧問、奈良市立一条高校校長として活躍。

*本稿は、現在発売中の紙媒体(雑誌)「息子・娘を入れたい会社2022」の「親世代とは大違い!息子・娘の就活大転換時代」を転載したものです。

21世紀の日本社会は、親世代の常識とは異なる「正解のない時代」。この時代を生きる若者たちが「100万人に1人の存在」として活躍するための戦略を、教育改革実践家の藤原和博氏が解説する。(取材・文/ライター 嶺竜一、撮影/ダイヤモンド編集部、イラスト/ソノダナオミ)

30年前の感覚で
親が就活に口を出すな

 この表を見てください。左側は日本がバブルのピークであった平成元(1989)年の世界の企業の時価総額ランキング、右側が令和3(2021)年10月現在のランキングです。黄色が日本の会社。32年前、トップ50のうちなんと32社が日本企業だったのです。

 しかし現在、世界の上位50にいる日本企業はトヨタ自動車1社だけ。上位にはGAFA+マイクロソフト、自動運転で先行する電気自動車のテスラ、半導体メーカーのエヌビディア、中国のIT企業テンセントとアリババが名を連ねています。

 この30年あまりの間に、デジタル革命という産業革命以来の大変化が起きました。30年前の時代感覚で生きていられるはずがありません。

 東京五輪にまつわる騒動では、いまだに昭和の感覚でいる層が残っていることが浮き彫りになりましたが、親(保護者)世代はこの変化をきちんと認識し、時代感覚をアップデートしておかなければならないでしょう。もはや平成も飛び越え令和の時代なのに、いまだに「昭和96年」の常識でわが子の就活に口を出すのはご法度です。