こうした定性的な面は、我々が日常生活を送る上でもある程度感じることはできる。ごく簡単に言えば素直に感動した製品やサービスを提供している会社があれば、まずそこに目を付けてみるのも良いだろう。

 例えばMonotaROという会社の株価はこの10年で40倍ほどになっている。ここは企業向けに間接材をネットで販売する会社だ。

 製造業にとって直接材というのはいわば製品の原材料のことをいい、間接材というのは日々の活動で必要な品物、具体的には工具や事務用品、雑貨などがそれに当たる。こうした間接材は大企業であれば出入り業者が直接購買部門とつながり、注文を受けて納入することになるが、中小企業の場合は個別に注文しなければならない。そこでネット通販ですぐに調達できる仕組みを提供しているのがMonotaROなのである。いわば中小企業向けの工具版Amazonといったところだろう。

 実際に在庫点数は900万点に及び、そのうち40万点は即日配送が可能だという。いわば今まで注目されていなかった中小企業向けの間接材という分野に存在していた課題を解決し、かつ個別の業者では対応できない在庫管理や配送システムを作り上げているため、この分野に限っては恐らく容易にまねすることはできないだろう※。

 これはひとつの例だが、他にも課題解決と競争優位性を持つ企業はたくさんあるし、自分が日常生活を送る上で気付くことはそれほど難しいことではない。

(※あくまでもひとつの例であり、当該銘柄への投資を推奨するものではありません)

 ただ、こうした定性的な面だけでは不十分で、数字の裏付けがないとだめだ。つまり定量的な面も考えておく必要がある。これは企業の決算短信や会社四季報に載っている数字で見ていくことになるが、それらについて細かく解説すると1冊の本ぐらいのボリュームになってしまうので、今回は筆者が大事だと考えている数字を2つ挙げてみる。