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期待先行、全員参加の“にわか株高”に潜むこれだけの不安

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第76回】 2009年5月12日
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 一時“真っ暗闇”だった景況感には、ここへ来て、少しずつではあるが明るさが出始めている。

 今回、世界的な景気急落の元凶となった米国については、最近の経済指標を見る限り、下落スピードがだいぶ緩和されており、一時期の景気底割れ懸念はかなり解消している。

 市場関係者の中には、オバマ政権の景気刺激策に期待する見方も多く、一部には、「米国経済は年後半にも回復過程に復帰できるかもしれない」との予測も出ている。

 また、大規模な経済対策を打った中国をはじめ、新興国経済の健闘も目立ち始めている。

 こうした変化を先取りする格好で、目下世界の主要株式市場は堅調な展開を示している。わが国や米国、欧州の株式市場は、最近では悪いニュースが出ても、以前のように不安が増幅される地合いにはなっていない。

 むしろ、“押し目買い”を狙う投資家の買いが入り、しっかりした展開になることが多い。

 また、今後高い成長率を期待できる新興国の株価は、すでに昨年のリーマンショック以前の水準まで戻しており、投資資金が流入していることがわかる。

 あるベテラン・ディーラーの一人は、「今、株が上昇することに反対する人はほとんどいない」と指摘していた。それは、足元の株式相場の地合いを如実に物語っている。当面、堅調な展開が続くと見られる。

 問題は、こうした“不況下の株高”がどこまで続くかだ。確かに、景気下落のスピードは緩和したものの、まだ明確な回復の構図が見えていないのも事実だ。よって、今後大手企業の破綻などがあると、景気回復の可能性を織り込み始めている株式市場の期待が裏切られることも、懸念される。

 重要なポイントは、「景気回復を先取りで上昇している株価水準に、実際の企業業績が追随できるか否か」だ。企業業績が期待されたほど回復しない場合には、株価が再び調整局面を迎える可能性は拭えない。

 期待先行の「全員参加型上昇相場」には、相応のリスクがある。そのリスクは、頭のどこかに入れておいた方がよい。

 最近、株式市場の地合いが変化した主な理由は2つある。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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