希少性を磨く下地は学生のうちに
クリエイティブな人生の掛け算への3カ条

藤原和博氏が就活生に伝授!本当に良い会社を見極めるための5つの指標

 最後に、学生である皆さんが、これから何を意識して生きていけばいいのかという話をします。重要なことは3つ。

 1つめは、自分の信用=クレジットをどれだけ高めるか。信用とは他者から与えられる信任の総量です。それは、他者があなたにどれほどの仕事を自由にやっていいと許すのか=信頼、そしてそのときにどれほど味方がつくのか=共感、という2点で測ることができます。信用が高まれば高まるほど良い仕事の機会に恵まれるようになり、他の人にはできない経験を積むことができるでしょう。

 2つ目は、希少性を磨くこと。前述した通り、人生において3つの軸を作ることが重要ですが、学生の間にもその下地を作っておくことはできます。学生のうちにプログラミングやビジネスをしたり、1歩目を始めてしまうのです。エキスパートに会うのもいい。お勧めなのは、災害被災地や最貧国に行って活動してみることです。東日本大震災の後の東北には、世界から素晴らしく優秀な人が集まり、いろいろな支援の仕組みを作りました。そして彼らは今もネットワークでつながっています。その中に入るのです。

 聖地に行って本物に触れることもお勧めです。フィギュアスケートなら名古屋、将棋なら東京・千駄ヶ谷の将棋会館道場、サッカーだったらスペインなど「聖地」があるように、何にでも一流が集まってしのぎを削る場所がある。そこに行き、多少実力が及ばなくても、レッスンを受けるなり、一流を体験するのがいいでしょう。ある分野でエキスパートになるということがどういうことか感覚としてわかるからです。

 3つ目は情報編集力。これは2歩目と3歩目の足を置く場所を選ぶのに必要な能力です。その軸足のスキルがAIに代わられるようなものでは価値がなくなってしまう。この先、どの世界に身を置き、どんなスキルを身につけた人を世界は求めるのか。どんな組み合わせで100万人に1人になるのか、情報を編集して見定めなくてはいけません。

 この3つのことを意識して、クリエイティブな人生の掛け算をしてほしいと願います。