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安東泰志の真・金融立国論

総選挙目前!各党の金融政策、成長戦略、
起業促進・企業再生政策を点検する

安東泰志 [ニューホライズン キャピタル 取締役会長兼社長]
【第28回】 2012年12月13日
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 総選挙が告示され、選挙戦に突入した。政党が乱立しているため、全政党を公平に、しかも全政策を取り上げるのは困難ではあるが、本コラムの趣旨に添い、金融経済政策だけに絞って主な論点を整理しておきたい。(以下、みんなの党は「みんな」、日本未来の党は「未来」、日本維新の会は「維新」と表記)

デフレ脱却花盛りの金融政策

 民主・自民・維新・公明・みんな・新党改革に共通しているのが、デフレの脱却を大きな目標に据え、程度の差はあれ、日銀との連携を強化するという方向性である。デフレの脱却は、そのまま円安への誘導にも繋がることは言うまでもない。

 1%か2%かといった数値に差はあるが、これら各党はインフレ目標を掲げている。しかし、そのようなインフレ率は、これまでの経験値から言って、決して容易な目標ではない。そのため、自民党は、日銀法の改正を視野に入れ、建設国債の大規模買い入れの要請、官民協調外債ファンドの創設にまで踏み込んで提言をしている。安倍総裁は、一時の過激な発言はトーンダウンさせたものの、「日銀に建設国債を全部買わせる」など、日銀による財政ファイナンスをイメージさせる言葉まで使っている(日銀による国債引き受けと紙一重である)。

 しかし、日銀がどんなに国債の買いオペをしたとしても、民間企業や個人に資金が流れない限りは、銀行の日銀当座預金が増加するだけであって、インフレにはならない。それは過去10年で証明されていることでもある。

 仮にインフレに誘導したいのであれば、王道は、民間企業や個人の投資や消費を喚起することによって、需給ギャップを埋めるしかないのだが、その手法について各党に大きな違いがあり、やり方次第では劇薬になりかねないものさえある。安倍総裁は否定に転じたが、仮にも日銀が国債を引き受けるようなことがあり、それが何らかの手段で民間企業や個人にばら撒かれれば、確実にインフレになるだろう。

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安東泰志 [ニューホライズン キャピタル 取締役会長兼社長]

東京大学経済学部卒業、シカゴ大学経営大学院(MBA)修了。1981年に三菱銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行、1988年より、東京三菱銀行ロンドン支店にて、非日系企業ファイナンス担当ヘッド。90年代に英国ならびに欧州大陸の多数の私的整理・企業再生案件について、参加各行を代表するコーディネーターとして手がけ、英国中央銀行による「ロンドンアプローチ・ワーキンググループ」に邦銀唯一のメンバーとして招聘される。帰国後、企画部・投資銀行企画部等を経て、2002年フェニックス・キャピタル(現・ニューホライズンキャピタル)を創業し、代表取締役CEOに就任。創業以来、主として国内機関投資家の出資による8本の企業再生ファンド(総額約2500億円)を組成、市田・近商ストア・東急建設・世紀東急工業・三菱自動車工業・ゴールドパック・ティアック・ソキア・日立ハウステック・まぐまぐなど、約90社の再生と成長を手掛ける。事業再生実務家協会理事。著書に『V字回復を実現するハゲタカファンドの事業再生』(幻冬舎メディアコンサルティング 2014年)。
 


安東泰志の真・金融立国論

相次ぐ破綻企業への公的資金の投入、金融緩和や為替介入を巡る日銀・財務省の迷走、そして中身の薄い新金融立国論・・・。銀行や年金などに滞留するお金が“リスクマネー”として企業に行き渡らないという日本の問題の根幹から目をそむけた、現状維持路線はもはや破綻をきたしている。日本の成長のために必要な“真”の金融立国論を、第一線で活躍する投資ファンドの代表者が具体的な事例をもとに語る。

「安東泰志の真・金融立国論」

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