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商社を支える“いまどき” ビジネス

ネット通販戦国時代に3年連続楽天グランプリ獲得!
住商グループ「爽快ドラッグ」が実店舗を圧倒する訳

【第8回】 2012年12月14日
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 男性の読者の方にはなかなか分かっていただけないかもしれない。いまや生活に不可欠となったミネラルウォーターやいつの間にか底をつく洗剤類。これらをスーパーマーケットやドラッグストアで購入して自宅まで運ぶのは、主婦をはじめとした女性にとってなかなかの重労働だ。

 また、東日本大震災をきっかけにミネラルウォーターやトイレットペーパーなどの備蓄をはじめた人も少なくないだろう。しかし、必ずしも1家に1台以上車を持っているわけではない大都市圏に住む人たちにとって、店舗で大量に購入して帰るのは現実的には難しい。

爽快ドラッグの物流拠点である倉庫。大阪に構えており、水・日用品・医薬品・化粧品など10万アイテムを揃える

 そうした人々のニーズを背景に、急成長を遂げているネット通販がある。それが住友商事の子会社で、水・日用品・医薬品・化粧品など約10万アイテムを販売する「爽快ドラッグ」だ。

 現在、顧客の約7割は女性で、30~40代の主婦層を中心に支持を集めて急成長している同社。2012年3月期の売上高は昨年の4割増で、さらに同サイトの楽天支店は楽天市場約3万8000店舗のなかのベストショップに贈られる「楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー」を09年から3年連続で獲得している。商社である住友商事が親会社であることはあまり知られていないが、実は隠れた有望事業なのだ。

「“地方の伝統薬”をどこでも入手できたら…」
そんな発想から始まったネット通販事業

 爽快ドラッグの設立は約12年前にさかのぼる。元々同社は、製薬メーカーの小林製薬を中心に「創快ドラッグ」という名前で設立され、小林製薬の卸売部門がその運営を担っていた。

 一方、住友商事のモバイル&インターネット事業部では、新たな柱となるITビジネスを模索していた。アメリカのネット企業と組んでの日本国内展開や、ネットバブルで盛り上がるアメリカでITベンチャー投資などを続けていたが、そうしたなかで着目したビジネスの一つがネットを介した物販、いわゆるeコマース(電子商取引)だった。

 ではeコマースで何を売るか。そこで発想の元となったのが日本の各地方に代々伝わる「伝統薬」だ。こうした伝統薬は地元では当たり前のように手に入るが、東京や他の地域に移り住むとなかなか入手は難しい。ネットで「伝統薬」などを扱えば、こうした需要にも応えられ、成長する事業になるのではないか、と考えたのだ。

 ちょうどその頃、創快ドラッグの運営を行っていた小林製薬の卸部門が分社化され、メイン株主が交替。小林製薬における「創快ドラッグ」の意味付けが変わりつつあった。小林製薬はメーカー・卸として商品を数多く保有している一方、ネットでのマーケティングやITシステムに関するノウハウは持ち合わせてはいなかったためだ。一方で、そうしたノウハウに長けていたのが住友商事だった。

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世間一般には、「モノやサービスを仲介する仕事」と思われがちな商社だが、足もとでは、従来の価値観に囚われない事業展開を行なっている。有名なのは、世界中で需要が急増している資源・エネルギー分野のビジネスだろう。採掘から、製品化、流通・販売まで、全てのプロセスに投資を行なう各社は、資源高の恩恵を享受して、軒並み収益増に沸いている。しかし、彼らが参入しているビジネスは、こうした重厚長大分野に止まらない。時として、衣食住に関わるコモデティ分野まで深く入り込み、ビジネスの裾野を着々と広げている。この連載では、商社の屋台骨を支える「いまどきビジネス」を詳しく紹介しながら、日本企業が新しいビジネスを生み出すためのヒントを考える。

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