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国税局直轄 トクチョウ(特別調査部門)の事件簿
【第2回】 2012年12月18日
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上田二郎 [元国税調査官]

妻名義の休眠口座で脱税した内科医(1)
5年間見送られた調査に着手したカギは?

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脱税に使われる道具のひとつが銀行口座である。休眠口座や倒産した企業の口座、外国人が売却した口座など、多くの銀行口座が悪用されている。特別調査部門が監視しながらも、5年の間、調査に踏み切れなかった内科医。その調査のカギになったのは、遠隔地に開設された妻名義の預金口座だった。

不正な取引に使われる怪しい銀行口座の数々

 銀行の預金口座に休眠口座と呼ばれている口座がある。学生時代に使っていた口座。結婚前に使っていた旧姓の口座。転勤や転居で使わなくなってタンスの底に眠ってしまっている口座。これらの口座を使用しないで10年間放置していると、銀行が休眠口座として解約の扱いをしてしまうことがある。

 全国銀行協会の自主ルールでは、一律10年以上の利息収入以外の異動がない口座で残高が一万円以上で預金者と連絡が取れない口座又は、残高一万円未満の口座を休眠口座としている。現在までの休眠口座の累計は12万口座にのぼると推定されている。

 しかし、一度、休眠口座になった場合でも、本人が通帳や印鑑及び身分の確認の出来る免許証などを銀行に持参すれば口座を復活してくれる。上田は休眠口座が、突然、復活して悪さをすることをマルサの経験で知っていた。

 使わなくなった口座を他人に売却する……。たとえば学生や外国人が、わずかのお金ほしさに口座を売ってしまう場合がある。特に外国人の場合は帰国する際に口座を売却してしまうため、売却口座が犯罪や脱税に使われているケースが多い。

 倒産した法人名義の口座や、個人の口座もインターネットで売買されている。口座売買屋なる商売があるほどだ。他人名義の口座は間違いなく不正な取引に使われている。

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上田二郎(うえだ・じろう) [元国税調査官]

1964年生まれ。東京都出身。
83年、東京国税局採用。千葉県内及び東京都内の税務署勤務を経て、88年に東京国税局査察部に配属。その後、2年間の税務署勤務があるものの、2007年に千葉県内の税務署の統括国税調査官として配属されるまでの合計17年間を、マルサの内偵調査部門で勤務した。09年、妻の実家を継承するために東京国税局を退職したが、縁あって再び税理士として税務の世界につながっている。


国税局直轄 トクチョウ(特別調査部門)の事件簿

トクチョウ(特別調査部門)とは、別名ピンク担当と呼ばれる特定繁華街の掌握を任務とする、国税局直轄の調査チームのこと。風俗店や飲食店の他、弁護士、司法書士、医師など、大口の申告漏れが見つかりそうな案件を対象に調査を行っている。
普通は見逃してしまうような、小さな違和感から調査の端緒をつかみ、張り込みや潜入調査によって脱税者を追いつめていく。17年間に渡り、マルサで活躍した元国税調査官が明かす特別調査部門の実力とは?

「国税局直轄 トクチョウ(特別調査部門)の事件簿」

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