新卒社員は、入社した会社にあいそをつかし3年で30%が去っていきます。終身雇用が生き残っているのは、東証一部上場企業の中の数百社に留まっています。それ以外の会社では、転職は当たり前となり、すでに終身雇用は崩壊しています。

 そのうえ、その数百社に入る富士通、日立製作所、KDDI等の日本を代表する大企業においてすら、メンバーシップ型雇用を廃止し、「ジョブ型雇用」を導入しようという動きが活発になってきています。

 どうして、こういう流れになっているのかといえば、大企業が競争力低下の理由をメンバーシップ型雇用にあると考え始めたからです。

素人集団の日本企業と
専門家集団のジョブ型雇用

 1980年代には、世界の時価総額ランキングで上位を総なめにしていた日本株式会社は凋落し、今や世界トップ50に入る日本の企業はトヨタ1社だけです。

 上位は、言うまでもなくGAFAM(ガーファム。グーグル、アップル、フェイスブック〈メタ〉、アマゾン、マイクロソフト)に代表されるアメリカ企業ばかりです。そして、そのアメリカ企業で採用されているのが、「ジョブ型雇用」です。

 ジョブ型雇用では、職務記述書(ジョブ・ディスクリプション)が用いられます。そこには、そのジョブ(職務)で行なう仕事の内容が明確に定義され、そのジョブに就くために必要な学歴や経歴も記述されています。

 会社は、そのジョブに合う人を採用し、その人の能力に応じて給与を決めます。日本のように年齢で給与を決めるのではないのです。若くても高いスキルを持っていれば、高い地位に就けます。高い地位に就けば、高い給与がもらえます。