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野口悠紀雄 未曾有の経済危機を読む

5000億の政府支援でかりそめの収益回復?
もはや長期下落は不可避の自動車産業

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第46回】 2009年11月21日
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 今年になってからの政府の自動車購入支援策(いわゆるエコカー購入補助金とエコカー減税)の恩恵で、自動車産業は一息ついている。経済が少し落ち着いているのも、これによるところが大きい。しかし、一産業に偏った支援をいつまでも続けるわけにはゆかない。支援策がいずれは終了することを考えると、自動車産業の将来はけっして楽観できない。自動車産業を最重要の産業とする日本経済にとって、これは重大な問題である。以下では、これについての定量的検討を行なおう。

 まず、乗用車の生産台数の推移を見ると、【図表1】のとおりである(「自動車統計月報」より)。

 普通車の生産は、2008年9月には約52万台だったが、経済危機によって一挙に減少し、09年3月には約18万台と、3分の1程度になってしまった。ところが、それ以降増加し、09年9月には約39万台にまで回復している。

 ところで、支援策のメリットがあまりない軽四輪車の生産は、この期間にほぼ10~12万台の水準であまり大きな変動なく推移している。この大きな違いを見れば、乗用車の09年3月以降の増加は、そのほとんどが自動車支援策によるものだったと考えられる。

購入支援策が
鉱工業生産指数をかさあげ

 つぎに、鉱工業生産指数の推移を見ると、【図表2】のとおりである。

 鉱工業全体の指数は、08年2月のピーク110.1から09年2月の69.5まで36.9%下落した。その後09年9月の85.7まで回復している。これは、08年2月の77.8%の水準である。

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野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

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