ウクライナ軍事侵攻により、周辺国でも一挙に「ロシア離れ」

 ロシアは、「NATOがこれ以上拡大しないという法的拘束力のある確約」を米国やNATOに要求してきた。だが、ロシアの軍事侵攻は、NATOの東方拡大を加速させている。

 ウクライナがEUへの加盟申請書に署名した。また、ウクライナ東部の親ロ派支配地域と同じように、一方的に「独立」を宣言された地域を国内に抱えている旧ソ連構成国のモルドバとジョージアもEUへの加盟申請書に署名した。

 この動きは、NATOの拡大につながる可能性がある。すでに、ウクライナとジョージアは、NATOが加盟希望国と認めている。モルドバはNATOの「平和のためのパートナーシッププログラム」に参加しているのだ。

 また、NATO非加盟国のスウェーデンとフィンランドの世論調査で、NATOへの加盟の支持が初めて半数を超えた。ロシアのウクライナ軍事侵攻によって、欧州のNATO非加盟国のあいだで、一挙に「ロシア離れ」が加速したといえる。

 さらに、ロシアの軍事行動がエスカレートすれば、ロシアを経済的に支援しているとされる中国、中立を保つインドなども、ロシアを見捨てざるを得なくなるかもしれない。