ウクライナ侵攻、「脱ロシア」と「脱炭素」で揺らぐ中央銀行のモノサシPhoto:123RF

ウクライナ危機深刻化の陰で
中央銀行が直面する「重要課題」

 ロシアによる軍事侵攻が展開されるウクライナ問題が激しさを増す中、FOMC(米連邦公開市場委員会)や日本銀行は今週、金融政策を決定する。

 市場は、FOMCが25bpの利上げを決める一方、日銀は金融政策を据え置くとみている。

 しかし、長い視点に立ったとき、中央銀行はより重要な課題に直面しようとしている。

 それは、地球温暖化対策としての「脱炭素」、そしてウクライナ侵攻への批判を原動力とする「脱ロシア」という「2つの脱」が、金融政策を調整する際に中央銀行が用いる「モノサシ」を不安定化させようとしているからだ。

「2つの脱」に共通する
成長と物価安定とのトリレンマ

 もともと「脱炭素」については、「①脱炭素②物価の安定③経済の安定成長」は同時には成り立たないというトリレンマが指摘されていた。

「脱ロシア」も、同様のトリレンマを引き起こす可能性が高い。つまり、「①脱ロシア②物価の安定③経済の安定成長」は同時には成り立ちにくい。