混迷ウクライナ#5Photo:PIXTA

ロシアのウクライナ侵攻がもたらした原油相場高騰は、インフレの昂進に苦しむ米国経済を直撃し、インフレの行方は金融政策、景気を大きく左右する。特集『混迷ウクライナ』の#5では、原油価格動向別のシナリオを提示する(ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)

原油が最高値水準なら
実質経済成長率は2%に低下か

 ロシアとウクライナの協議が不調に終わり、緊張が緩和せず長期にわたり現状レベルの西側諸国による対ロシア経済制裁が続くとなると、原油需給は逼迫し、市場はリスクオフ(投資家がリスクを取らない状態)が常態化する。

 原油価格が史上最高値水準の1バレル=140ドルで推移した場合、ウクライナ侵攻前は3%台とみられていた米国経済の2022年の実質経済成長率は、2%台に低下しそうだ。

 その理由は 原油価格高騰が物価上昇を通じて個人消費を圧迫するためである。「1バレル=140ドルで推移すれば、米国の消費者物価上昇率は4%ほど上振れする」(窪谷浩・ニッセイ基礎研究所主任研究員)とみられる。