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コンプガチャ騒動で再確認した
ユーザーとの長期的な信頼関係構築の重要性
――カプコン・一井克彦専務インタビュー

石島照代 [ジャーナリスト]
【第31回】 2012年7月30日
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ゲーム機、携帯、スマートフォン、そしてタブレットとありとあらゆる端末で、存在感を発揮している企業のひとつが、ゲームメーカーのカプコンだ。2100万本以上を売った「モンスターハンター」シリーズなどの人気コンテンツを持つ一方で、今年の5月には「ドラゴンズドグマ」(プレイステーション3用、Xbox 360用)を発売、新規タイトルにもかかわらず100万本以上を売り上げ業界人を驚かせた。なぜカプコンはこのように売れるソフトを作る開発力を持続できるのか。同社専務の一井克彦氏に話を聞いた。

一井克彦(いちい・かつひこ)
1964年大阪府生まれ。1986年甲南大経営学部卒、97年コナミ入社、2002年コナミコンピュータエンタテインメント東京取締役。04年コナミ退社後、カプコン入社。05年執行役員、10年コンシューマエンターテインメント事業統括本部長および開発統括(兼任)、11年6月現職。

石島:いわゆるソーシャルゲームの市場規模が3000億円規模になったとみられる一方、家庭用ゲーム市場は失速中という話をよく聞きます。その理由は、日本のゲーム企業が存在感を失っているからだそうですが、その理由の妥当性は、今年6月に行われた「E3 2012(Electronic Entertainment Expo:毎年米国で初夏に開催される、主に家庭用ゲーム市場関係者向けの見本市)」の状況で検討できると思います。一井さんは今回のE3をどのようにご覧になりましたか。

一井:確かに、我々も含めて日本のゲーム企業の存在感があったかと言われると、残念ながらそうは言えないです。今年は、日本のパブリッシャーにとっては、今までで最も厳しい年になりました。ただ、世界的な市場の勢いは十分感じられましたし、その意味で新たなビジネスチャンスも感じました。ですので、私にとってはとても刺激的でした。

 現在、家庭用ゲーム市場で売られているゲーム機は成熟期を迎えています。ですから、通常は新規タイトルがでません。つまり、新しいハードのために新作を“とっておく”わけです。でも、今年のE3は全く違った。欧米メーカーは魅力的な新規タイトルをこの時期にいくつも投入してきた。これには非常に刺激されました。

 カプコンもこの春「ドラゴンズドグマ」を発売し、ご好評をいただいているわけですけれども、今回のE3を見ているとカプコンもまだまだ頑張らなきゃと思わされました。ひとつの成功体験で満足している余裕は、今のカプコンにはありません。昨年の対談でも申し上げましたけれども、世界の中で存在感を示せなければ生き残っていけない。この危機感をいかに全社員で共有できるか、私はその方法を毎日必死に考えています。

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石島照代 [ジャーナリスト]

1972年生まれ。早稲田大学教育学部教育心理学専修を経て、東京大学大学院教育学研究科修士課程在籍中。1999年からゲーム業界ウォッチャーとしての活動を始める。著書に『ゲーム業界の歩き方』(ダイヤモンド社刊)。「コンテンツの配信元もユーザーも、社会的にサステナブルである方法」を検討するために、ゲーム業界サイドだけでなく、ユーザー育成に関わる、教育と社会的養護(児童福祉)の視点からの取材も行う。Photo by 岡村夏林

 


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ゲームソフトをゲーム専用機だけで遊ぶ時代は終わった。ゲーム機を飛び出し、“コンテンツ”のひとつとしてゲームソフトがあらゆる端末で活躍する時代の、デジタルエンターテインメントコンテンツビジネスの行方を追う。

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