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財部誠一の現代日本私観

安倍政権の成長戦略はどうすれば失敗しないか

財部誠一 [経済ジャーナリスト]
【第17回】 2012年12月28日
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 12月26日、3年4ヵ月ぶりに自民党が政権復帰を果たし、安倍政権が誕生した。新政権は、民主党政権時代とは比較にならぬ安定感を醸し出している、という印象だ。皇居での親任式後に行われた記者会見で、安倍新総理は内閣のミッションを明確に打ち出した。外交も経済も復興も、課題は山積みだが「強い経済を取り戻す」ことが、安倍政権の1丁目1番地であると言い切った。

“素人政党”との格の違いを見せつけた自民党

 政権発足前から日銀に金融緩和圧力をかけ続け、最終的には「日銀法改正」にまで踏み込んで日銀を恫喝した。「御殿女中」などと揶揄される役人集団の日銀は元来、弱腰だ。自民党の勝利と総理就任が確実視されていた安倍氏の「日銀法改正」発言で、日銀は態度を豹変。白川方明日銀総裁は、衆院選前の12月20日に行われた金融政策決定会合後の記者会見で「1月の会合でインフレ目標2%を検討する」と公言した。

 衆院解散から年末にかけて、劇的な円安・株高シフトが起こった誘因が安倍発言であったことは間違いない。安倍自民党はやはり政治を知っている。どこをどう押せば日銀や役所が動くのか、日本の統治機構に精通しているのだ。その直前、民主党の前原誠司国家戦略相が日銀に金融緩和圧力をかけるというまったく同じ目的をもって行ったのは、日銀の金融政策決定会合にオブザーバーとして出席することだった。品位はあるかもしれないが、そんなことでは御殿女中にもなめられる。日銀の独立性を担保する金科玉条の日銀法にまで「手を突っ込むぞ」と恫喝することが、一番効くのだ。

 日銀を口先ひとつで動かした自民党と、オブザーバー参加で日銀に軽くあしらわれた民主党。プロはプロであるがゆえの問題を引きずるものの、主体的に国家を動かすことのできなかった素人政党との格の違いを見せつけた格好だ。

 その安倍政権は自ら使命と掲げる「強い経済を取り戻す」ためにいかなる手段を講じるつもりなのか。強い経済を取り戻すための入り口は「デフレ脱却」だ。20年もの長きにわたってデフレを続けている日本経済は世界に例をみない異常事態に陥っている。ありとあらゆる政策を同時進行で進めていかなければ出口はみえない。安倍政権にはその理解がある。

 具体的にはつぎの3点に集約される。

 金融政策、財政政策、成長戦略の3つだ。

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財部誠一 [経済ジャーナリスト]

1956年生まれ。慶應義塾大学法学部卒業後、野村證券に入社。同社退社後、3年間の出版社勤務を経てフリーランスジャーナリストに。金融、経済誌に多く寄稿し、気鋭のジャーナリストとして期待される。BS日テレ『財部ビジネス研究所』、テレビ朝日『報道ステーション』等、TVやラジオでも活躍中。また、経済政策シンクタンク「ハーベイロード・ジャパン」を主宰し、「財政均衡法」など各種の政策提言を行っている。


財部誠一の現代日本私観

経済ジャーナリスト・財部誠一が混迷を極める日本経済の現状を鋭く斬るコラム。数々の取材から見えた世界情勢を鋭く分析するとともに、現代日本にふさわしい企業、そして国のあり方を提言していく。

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