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自民を嫌い“ひどい民主”を選んだのはそもそも誰か?
胸に刻むべき小選挙区制の怖さと政治へのバランス感

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第257回】 2012年12月25日
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まるでオセロゲームのコマめくりのよう
3年前と激変した「民主崩壊、自民大勝」

 今回の衆院選挙の結果はそれなりに予想できたのだが、ここまで民主党が大敗するとは思っていなかった。政権与党である民主党は、自己の存在を否定されるような打撃を受けたことだろう。多くの国民は、約3年間の民主党政権の政策運営によほど大きな失望感を持ったということだ。

 政党別の獲得議席数を見比べると、自民党は国民から信認されたように見えるのだが、国民の心理はそれほど単純なものではない。

 たとえば、今回選挙の投票率は史上最低水準だった。おそらく国民は、わが国の政治に大きな期待を持っていなかったのだ。「多くを期待できない政治に、大切な時間を使っても空しいだけ」との意識があったと見られる。

 ただ今回の選挙で、「いくらなんでも民主党政権はひどい」という意思表示だけはしておくべきだと考えたのだろう。その結果が、自民党に政策運営を委ねるという格好に落ち着いた。だから、自民党も選挙結果の上に胡坐をかいていると、今後の実績次第では民主党の二の舞ということは十分にあり得る。安倍総裁自身もそうした発言をしている。

 もう1つ、我々が今回の選挙から学ぶべきことは、小選挙区比例代表並立制という現行の選挙制度の怖さだ。小選挙区制では、特定の選挙区で、対立候補よりも1票でも多くの票を獲得した候補者が勝者になる。

 逆に言えば、ライバルと1票差であっても落選するのである。そうした選挙制度の下では、結果がどうしてもそのときの雰囲気や流れに左右されやすくなる。

 今から3年数ヵ月前の選挙で、国民は圧倒的に民主党を支持した。当時は“反自民”、あるいは“嫌自民”の流れがあり、それに乗っかる格好で多くの票が民主党に流れ、民主党政権ができ上がった。

 ところが、民主党は国民の期待を大きく裏切り、上手く表現できないほどの失望感を与えた。その結果は、今回のオセロゲームのような選挙結果に結びついた。選挙とは恐ろしいものだ。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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