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田中均の「世界を見る眼」

安倍新政権は諸外国の信頼を回復できるか?
停滞した外交を打開するための「5つの注文」

田中 均 [日本総合研究所国際戦略研究所理事長]
【第15回】 2012年12月19日
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安倍新政権の外交へ「5つの注文」
まずは政府外交当局の信頼回復を

 安倍新政権の発足に際し、停滞した外交を打開するために5つの注文をしたいと思う。現在、中国との関係は尖閣問題をめぐり緊張し、韓国との関係も竹島への大統領訪問以降、停滞している。

 ロシアとの北方領土問題、沖縄の普天間基地移設問題、TPPなど外交懸案は山積みのままである。外国に出張するたびに、日本の存在が希薄となっていることも思い知らされる。すべてを3年余の民主党政権の誤りと決めつけるつもりはない。 

 小泉政権以降の毎年の首相交代も、外交停滞の大きな原因である。自民党の圧勝と安倍自公政権の誕生は外交を再活性化する大きな好機と捉えたいし、ここでは外交の正道にかなう注文をしたいと思う。

 第一に、政府外交当局の信頼回復である。この数年の間、米国の政府高官のポストにいた私の友人たちは「日本側の誰と話したら良いかわからない。官僚は政治家から信頼されていないようで自信が感じられない。政治家は十分な国際関係の知見を持っているようには見受けられない」という不満を度々漏らしていた。

 2010年に尖閣問題が火を噴いた際、中国の不満の1つは日本側とのコミュニケーションの不足にあったと聞く。

 外交で十分なコミュニケーションが不足するのは致命的である。民主党政権が「脱官僚依存」を掲げ、従来官僚が外交プロフェッショナルとして果たしてきた役割も否定し、官僚に一定の裁量を与えることなく全てを政治家が取り仕切るとしたのは大きな過ちであったのだと思う。

 日々情報に目を通し、専門的な見識を基に提言をし、政治家たる大臣や首相の承認の下に外交政策の実施を担当する官僚の役割を、今一度確認するべきなのだろう。

 第二に、外交安保の陣立ての構築である。これまで度々指摘されてきた外交安保体制の強化を、今度こそ実現してもらいたい。憲法改正は一朝一夕になるものではないので、自民党公約にあるような国防軍などは早急に結論を出すべき問題ではなく、じっくり検討していくことが必要である。

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田中 均 [日本総合研究所国際戦略研究所理事長]

1947年生まれ。京都府出身。京都大学法学部卒業。株式会社日本総合研究所国際戦略研究所理事長、公益財団法人日本国際交流センターシニアフェロー、東京大学公共政策大学院客員教授。1969年外務省入省。北米局北米第一課首席事務官、北米局北米第二課長、アジア局北東アジア課長、北米局審議官、経済局長、アジア大洋州局長、外務審議官(政策担当)などを歴任。小泉政権では2002年に首相訪朝を実現させる。外交・安全保障、政治、経済に広く精通し、政策通の論客として知られる。

 


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西側先進国の衰退や新興国の台頭など、従来とは異なるフェーズに入った世界情勢。とりわけ中国が発言力を増すアジアにおいて、日本は新たな外交・安全保障の枠組み作りを迫られている。自民党政権で、長らく北米やアジア・太平洋地域との外交に携わり、「外務省きっての政策通」として知られた田中 均・日本総研国際戦略研究所理事長が、来るべき国際社会のあり方と日本が進むべき道について提言する。

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