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田中秀明の予算の政治経済学入門

日本の予算の問題点:
透明性の低さと意思決定の断片化

田中秀明 [明治大学公共政策大学院教授]
【第4回】 2013年1月9日
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第3回では、財政再建に成功した国の予算制度改革を紹介したが、成功国の予算制度と日本のそれを比べると、日本の問題点が明らかになってくる。日本の予算制度の根本的な問題は、透明性が低いことと意思決定が「断片化」していることである。今回は日本の予算制度の問題を分析する。問題点を明らかにすることが、問題解決に不可欠であるからだ。

透明性と赤字・債務

 日本の国レベルの財政の透明性が、経済協力開発機構(OECD)のなかでも相当低いことは、日本にいるとわからないが、世界の研究者の間では周知のことである。

 透明性とは、財政政策を評価するための情報が国民に理解できるように公開されているか、政府が説明責任を果たしているかを意味する。日本と諸外国の透明性の程度を比較したのが表1である。これは、筆者が透明性に関して特に重要な20の基準を、OECD主要国が満たしているかどうかを評価したものである。満たしている場合は「○」で1点、満たしていない場合は「×」で0点、その間は「△」で0.5点、満点は20点である。こうした透明性の基準は、他の研究でも使われており、厳密には恣意性を排除できないものの、総じて妥当と考えられる。

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田中秀明[明治大学公共政策大学院教授]

たなか・ひであき
1960年生まれ。1985年、東京工業大学大学院修了(工学修士)後、大蔵省(現財務省)入省。内閣府、外務省、オーストラリア国立大学、一橋大学などを経て、2012年4月から現職。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス修士、政策研究大学院大学博士。専門は予算・会計制度、公共政策・社会保障政策。著書に『財政規律と予算制度改革』(2011年・日本評論社)、『日本の財政』(2013年・中公新書)


田中秀明の予算の政治経済学入門

日本政府の抱える借金は、何とGDPの約2倍に達する。財政再建は待ったなしと、これまでに何度もトライされてきた。だが、いずれもうまくゆかず借金は膨らむばかりだ。なぜ、財政再建はとん挫するのか。財務省出身で、気鋭の財政学者が、予算策定から決算至る予算の一生に分け入り、制度・仕組みの問題点を指摘し、無駄をなくし、効率的な予算を実現するため方策を提言する。

「田中秀明の予算の政治経済学入門」

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