特別会計が「霞が関埋蔵金」といわれて久しい。経理の明確化を図って区分された特別会計が独立性を逆手にとって財政資金をため込んでいるとみられている。改革によって統廃合が進み透明化が図られたものの、課題がすべて解消されたわけではない。改革後も解決されていない問題点を明らかにする。
「霞が関埋蔵金」の本丸とされる特別会計
予算編成の財源が厳しくなると「実は資金が隠されているのではないか」と疑われることが少なくない。その疑いの目がすぐに向かうのが、特別会計の「霞が関埋蔵金」だ。2003年2月に塩川正十郎財務大臣(当時)が国会で「母屋でおかゆをすすっているときに、離れでは子どもがすき焼きを食っている」と答弁し、その存在がクローズアップされた。
その後、特別会計の統廃合が進み、過剰な積立金も取り崩された。それでも国民は、霞が関埋蔵金に対する疑念を払拭し切れていない。一般会計予算の4倍に達する特別会計は依然として「伏魔殿」と見られている(図表1)。25年度からは「こども・子育て支援特別会計(仮称、いわゆる「こども金庫」)が新設される。そこで本稿では、この機会に、現行の13に上る特別会計の課題を明らかにする。
まずは「外国為替資金特別会計」だが、これは為替介入を行う「外国為替資金」を経理するものだ。歳入は保有する米国債等の運用収入3兆241億円、外国為替の売買による利益1,693億円などで構成されている。一方、歳出は外国為替資金証券(為券)の利払い費など1,138億円が計上され、差し引き3兆4,759億円の利益を上げている(22年度決算)。