自公大敗後の試金石の緊急経済対策、「規模ありき」ではなく実質賃金上昇の基盤整備が王道総選挙翌日、党首会談で政策合意書を交わす石破茂自民党総裁(右)と石井啓一公明党代表=10月28日午後、国会内 Photo:JIJI

選挙後最初の試金石は緊急経済対策
総額だけが問題にされている不合理

 10月27日に行われた衆議院選挙は、与党の自民党と公明党で過半数割れという結果になった。

 石破政権は、これから極めて難しい政権運営を強いられることになる。

 選挙後にまず行なうのは、総選挙で公約した緊急経済対策だ。公約では2023年度補正予算における経済対策費を上回る規模を確保するとした。

 しかし問題なのは、対策の内容を詰める前に予算の規模だけの議論が”先行していることだ。本来、予算規模はまず施策の内容を決定し、それに必要な額を積算して決まるものだ。内容を決めずに規模が決まるというのは理解しがたいことだ。

 石破首相が対策の規模を強調するのは、財政支出を増大したり減税をしたりすれば、ほぼそれだけGDPが増大する。さらに乗数効果がでればそれ以上の増大効果を期待しているからだろう。だが昨年11月の経済対策のための補正予算によるGDP押し上げ効果はほとんどなかった。

 今回の緊急経済対策はガソリンや電気・ガス代補助の延長が中心になる可能性が高いが、中身も本質的な対策とは程遠い。