
国民の目を「令和ロマン」に
向けさせた「政治的意図」
芸能界やプロ野球界における「オンラインカジノ汚染」が明らかになってきた。
「M-1グランプリ」で連覇した漫才コンビ「令和ロマン」の高比良くるまさんがかつてオンラインカジノを利用していた件で警視庁から事情聴取を受け、「活動自粛」を発表した。このことが大きな話題になっていたところ、オリックスの山岡泰輔投手がオンラインカジノを利用していたことが判明して、球団が当面の間の活動自粛を命じたと発表したのだ。
これを受けて日本野球機構(NPB)はプロ野球12球団に対して聞き取り調査を要請し、早ければこの週末にもその結果を公表するという。
このようなニュースが続いていると、「違法だと知らないで手を出している人もたくさんいそうだから、この際しっかりと取り締まったほうがいい」と思う方も多いだろう。
確かに、このような形で有名人の「摘発」が話題になるのは社会にとって悪いことではない。さまざまな組織で「おい、ウチは大丈夫だろうな!」と調査が始まって襟が正される。有名人が活動自粛に追い込まれるのを見て、慌ててオンラインカジノから足を洗うという「抑止効果」も期待できる。
ただ、今回の一連の動きはモヤモヤする。警察が仕掛ける「犯罪防止キャンペーン」というのは必ず政治的な意図があるものだからだ。
例えば、2022年10月、警察庁生活安全局は「オンラインカジノは犯罪」というキャンペーンを開始したが、これは遡ること5カ月前、山口県阿武町が新型コロナの特別給付金4630万円を誤って送金した男性が、「全額オンラインカジノで使った」と主張して返金を拒んだことが、社会的に大きな話題になったことがきっかけの1つだと考えられるからだ。
つまり、オンラインカジノのスキームを用いれば、違法なカネを「マネーロンダリング」できてしまうということに注目が集まったので、治安当局としてはきつくクギを刺す必要があったのだ。
では、今月頭から警察がマスコミにリークをしていた「吉本興業芸人への事情聴取」はどのような「政治的意図」があったのか。