コロナ禍の越境転職がなぜ人気?「ディグるキャリア」で大きく変わる仕事観「ディグる」ことで、従来とは異なるキャリアに挑戦する人が増えている(写真はイメージです) Photo:PIXTA

リクルートが捉えている新たな潮流――それは「ディグるキャリア」です。「ディグる(Digる)」とは、掘り起こす・宝物を掘り当てること。働く個人が自身の経験やスキル、感情を深く掘り起こすことで、心から夢中になれる新たな領域、新たなキャリアに挑戦することを意味します。一方、企業側も構造的な人材不足およびビジネスモデルの変化を背景に、これまで採用してきた人材とは異なる人材に注目。個々の強みや価値観を「ディグる」ことで、自社で活躍できる可能性を持った人材の発掘に取り組んでいます。

こうした個人・企業双方の動きから、異業種・異職種への「越境転職」も増加してきました。今回は、「ディグるキャリア」が実現する越境転職の実態について、リクルートのサービスを通じて生まれた実際の事例を交えてお伝えします。(リクルート HR統括編集長 藤井 薫)

転職パターンは「異業種×異職種」
への越境が最多に

 転職のパターンを大きく分けると、「同業種×同職種」「同業種×異職種」「異業種×同職種」「異業種×異職種」があります。中途採用においては「即戦力」を求めることが多いため、以前は「同業界×同職種」への転職が主流でした。

 ところが、2020年度にリクルートエージェントを通じて転職した方々のデータを見ると、最多は「異業種×異職種」への転職で、36.1%を占めています。

 こうした「越境転職」は、個人と企業の双方がキャリアを「ディグる」ことによって実現しています。たとえばリクルートエージェントでは、2つの側面から支援しています。

 求職者から転職やキャリアについて相談を受けた際、その方の経験やスキル、想いなどをどのような業界・職種で生かせそうか、キャリアドバイザーと会話を重ねる中でディグる。一方企業側では、人材戦略や採用の相談を受けたとき、そのポジションではどのような方が活躍できそうか、リクルーティングアドバイザーと共にディグる。

 即戦力となる経験やスキルがあるかに注目されることの多い中途採用で、ディグることが企業と人材の新たなマッチングに繋がっているのです。越境転職の実例を挙げてみましょう。