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アップルは本当に「iPhone mini」を発売するのか

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第228回】 2013年1月17日
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 アップルがiPhoneの小型版、iPhone miniを発表するだろうというもっぱらのうわさだ。

 iPhone miniは小型なだけではなく、もちろん価格も安くなる。高級感のある完璧な製品で押してきたアップルにとって、これは大きな方向転換。だからこそ、そのゆくえが注目を集めているところである。

 アップルに関しては、ここのところ冴えないニュースばかりが流れてくる。まず株価が下がっている。怖いものなしのiPhone、他社に先駆けて出したタブレットiPadで世界を君臨していたアップルの株価は、昨年秋に700ドル以上をつけていたが、それが現在は486ドル。30%ほども価値を下げている。そこへ、iPhone5の部品の発注を減らしたというニュースだ。業界関係者によると、この1月に1900万個のiPhone5の売上を見込んでいたが、それを1100万から1400万個まで下げている模様という。期待ほど売れていないということだ。

 また、業績も下降気味という予想がなされている。今月末に発表される昨年10~12月期の利益は前年同期から下がり、9年ぶりの減益になるのではないかというのだ。

 不景気の中でほぼ唯一パワーを保っていたアップルが減速するとなると、心細いことだが、そうした状況を鑑みるとiPhone miniの発表もまことしやかに思えてくるのだ。

iPhoneのシェアはいまや15%足らず
お高くとまったビジネスモデルから脱却?

 iPhoneシリーズは、もちろん今でも人気だが、市場シェアは少しずつ下がっている。世界のスマートフォン市場で、2011年末から2012年初頭にかけて23%あったiPhoneのシェアは、現在15%足らず。アンドロイドOSをベースにしたグーグルやサムスンのスマートフォンに押されている。

 そこでアップルにとっての戦略は、廉価版のiPhoneを出すこと。昨年、アップルはiPad miniを出して新たなユーザーを獲得したが、それと同じことをiPhoneでもやるということである。

 アップルのこれまでのビジネスは、美しい製品を高級な素材で作って売るというものである。価格は高いが、アップルに共鳴するファンたちは多かった。マージンの大きいビジネスを行ってきたわけだ。

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瀧口範子 [ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。


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