ダイヤモンド決算報#建設・農業機械Photo:picture alliance/gettyimages

コロナ禍が落ち着き始めたことで、市況も少しずつ回復しつつある。しかしビジネス界では、コロナショックから立ち直った企業と不調から抜け出せない企業とで明暗が分かれている。そこで、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回はコマツ、クボタの「建設・農業機械」業界2社について解説する。(ダイヤモンド編集部 濵口翔太郎)

2年連続での「過去最高売上高」達成を
目指すコマツ・クボタだが…

 企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の建設・農業機械業界の2社。対象期間は2022年1~3月期としている。

 各社の増収率は以下の通りだった。

・コマツ
 増収率:16.5%(四半期の売上高7876億円)
・クボタ
 増収率:10.3%(四半期の売上高5932億円)

 コマツ、クボタともに前年同期比で2桁増収となった。好調のコマツは通期でも2桁増収を成し遂げ、過去最高の売上高を達成した。23年3月期もさらなる増収を見込んでいる。

 一方、12月決算のクボタも、実は21年12月期の通期決算(今年2月発表)で売上高が初の2兆円を突破し、過去最高額を更新したところだ(前期比18.5%増の2兆1968億円)。

 クボタは22年12月期も増収での着地を予想しており、その第一歩となる第1四半期(22年1~3月期)の増収率も好調な滑り出しを見せた。

 まさに順風満帆に見える両社だが、現在の事業環境をひもとくと、必ずしもそうとは言い切れないことが分かる。それどころか、今後の業績を左右しかねない「死角」が潜んでおり、もろ手を挙げては喜べない状況なのだ。

 次ページ以降では2社の増収率の推移を紹介するとともに、2社の好決算に潜む資材高と地政学リスクという「死角」の実態を明らかにする。