生活保護は恥ではなく「権利」、“絵に描いた餅”にしないためにできることPhoto:PIXTA

「権利は人をワガママにする」
この俗説は真実なのか

 日本では、いつでもどこでも誰でも「健康で文化的といえる生活」を営めるはずだ。なぜなら、生活保護を利用する権利があるからだ。とはいえ物価上昇と酷暑の2022年夏、「日本には生活保護があるから安心だね」という喜びの声は聞こえない。

 1950年に生活保護制度が発足して以来、政府の財政上の都合や「恥」という偏見が、権利であることを妨げ続けてきた。だから2020年、コロナ禍に際して、厚労省はわざわざ「生活保護は権利」と明言しなくてはならなかった。もはや、状況が大きく変わる可能性は皆無に見える。

 しかし神奈川県川崎市には、偏見を乗り越え、行政と予算を動かし続けてきた「前例」がある。2000年、神奈川県川崎市で策定された「川崎市子どもの権利に関する条例」(通称:川崎市子どもの権利条例)、そして条例に基づいて設置された「川崎市子ども夢パーク」だ。

 この「前例」は、どのように作られたのだろうか。そこには、生活保護制度を動かすヒントがありそうだ。