宝くじPhoto:PIXTA

「宝くじが当たったら…」億万長者を夢見て、宝くじを購入したことはないでしょうか。しかし、残念ながら宝くじは、ぼったくりのギャンブルです。当せん確率がかなり低いのにもかかわらず、なぜ人々は宝くじを買ってしまうのか?「2つの勘違い」が原因です。これらは保険をはじめとするビジネスでも利用されているため、知らないと無自覚に損をします。今回は、絶対に損をしたくない人が知るべき「2つの勘違い」についてお話しします。(経済コラムニスト 大江英樹)

宝くじは“ぼったくり”の
ギャンブルでしかない

 宝くじはよく、「貧者の税金」とか「愚か者の税金」と言われます。そんな言い方をされると「夢を求めて宝くじを買った人」に対して身もふたもない言い方のように思えますが、これは事実です。なぜなら宝くじの「期待値」は50%以下だからです。

 この場合の「期待値」とは、発行された宝くじを全部自分1人で買い占めた場合、自分が受け取れる当せん金の合計金額はいくらになるかの割合です。

 つまり、仮に宝くじが1000億円分発行された場合、それを全部買うと1000億円のお金を出すことになります。これに対して当せん金の割合が50%ということは自分に戻ってくるお金は500億円で、半分しか戻ってきません。

 だから宝くじはたまたま当たる人はいますが、買った人全体で考えれば絶対にもうからない仕組みになっているわけです。しかも、詳しくは後述しますが宝くじの当せん確率はかなり低く、まず当たりません。

 では当たらないことがわかっているにもかかわらず、なぜ人々は宝くじを買うのでしょうか?これは単に「夢を求めている」という抽象的な理由ではなく、明らかに心理的なバイアスがかかっていると考えるべきでしょう。

 実は、このバイアスを知っている人と知らない人とでは、大きな差が出てくるのです。このバイアスは「保険」をはじめ、あらゆるビジネスでも利用されているからです。バイアスを承知の上であえて選択するか、知らないままバイアスに操られるか…。長い目でどちらが得をするかは一目瞭然ですね。

 次のページからは、ビジネスでも通用する「2つのバイアス」について解説します。