2013年も引き続き大きな社会問題であり続ける若者の就職難。2011年における日本の若年失業率は8.2%と、全世代の4.5%を大きく上回る。つまり、働きたくても職に就けない若者が日本では12人に1人いる計算だ。また、職に就けたとしてもそれがブラック企業や不安定な非正規雇用であったりと、肉体的にも精神的にも追い詰められる若者が少なくないのが日本の現状である。現在、2014年度の新卒採用がスタートし、「内定が取れるのか」という不安も学生の間で広がるなか、仕事に就けないとすれば、それは本当に彼らの「自己責任」で片づけてよいのだろうか。経済成長に軸足を置く自民党・安倍新政権が若者の就職難を解決できるのかを含め、就職難の若者を救うために必要な処方箋を、東京大学大学院・本田由紀教授に聞いた。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン 林恭子)

若者の就職難は「自己責任」ではない

――新規学卒者のみならず、若年層の就職難が深刻な問題となっている。彼らが就職できないのは「やる気がないから」と言われることが多いが、本当に「自己責任」で片づけてよいのか。

ほんだ・ゆき
1964年徳島市生まれ。社会学者。東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得退学(教育学博士)。現在、東京大学大学院教育学研究科教授。著書に『多元化する「能力」と日本社会』(NTT出版、第6回大佛次郎論壇賞奨励賞受賞)、『軋む社会』(河出書房新社)などがある。

 私は自己責任だとは全く考えていない。確かに、若者それぞれを見れば、仕事に就ける人と就けない人に分かれており、就職できないとすれば、それは本人の責任のように見える。しかし、経済成長率の低迷や産業構造の変化という大きな趨勢があるなかで、若者が就ける仕事の量自体が長期的趨勢として縮小し、その質も変化している。そうした現実に目をやれば、自己責任などで説明できる状況ではない。

 日本の正社員は昔から企業によって強いメンバーシップを与えられ、職務の内容や分量が不明瞭である一方で、長期的な雇用や賃金の上昇が保証されてきた。しかし、経営環境が将来的に不確実化するなかで、企業は正社員を絞り、賃金も抑制し、出し入れが容易で安価な非正社員を活用することで対処しようとしている。

 また、産業構造の変化によって一次産業は減少、1995年頃まで持ちこたえてきた第二次産業も下降する一方、第三次産業の伸びが著しい。一見、第三次産業に雇用吸収力があるように見えるが、その多くが対人サービスだ。人件費が支出のほとんどを占めるため、収益獲得のために人件費圧縮になりがちで、労働条件の劣悪な雇用が広がっている。

 2012年に厚生労働省が発表した調査結果によると、大卒者の「3年間の離職率」は大卒者全体で3人に1人に対し、サービス産業、なかでも宿泊業・飲食サービスや教育・学習支援業では約5割に上る。新卒入社しても、労働条件の厳しさゆえに離職が発生しているのだ。高卒者の場合はもっと著しい。

――若者を仕事に就ける人、就けない人の2つに分かつものは一体何か。