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計数感覚を磨けば経営力はアップする

最低賃金1000円が実現した場合の
中小企業への深刻な影響を業種別に検証

千賀秀信
【第10回】 2009年9月17日
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 民主党政権が誕生し、マニフェストの内容を実現できるかが、次の関心ごとになっています。所得の再配分が政策の目玉になりそうです。その中で、最低賃金を1000円(時給)に引上げるという公約があります。

 賃金の最低額は、都道府県ごとに決まっていて、これより低い賃金の場合は、罰則の対象になっています。2009年度の地域別最低賃金の全国平均は713円(時給)です。民主党は、「全労働者の最低賃金を当面は800円として、さらに全国平均で1000円を目指す」と言っています。

 713円から800円へ時給が上がると12%アップで、713円から1000円になると40%のアップということで、かなり高い賃上げ率です。

 実際には、健康保険、厚生年金保険などの社会保険がかかるので、会社負担は、最低賃金の少なくとも2割増しになると考えなければなりません。1000円なら、会社負担は1200円になるということです。朝日新聞(09年8月18日)の記事の中で、北海道中小企業家同友会の吉田孝義・政策委員長は、「最低賃金が全国平均で1000円になったら、北海道の中小企業の多くは倒産するか、人を減らすかして、雇用そのものが失われる」と答えています。かなり深刻な状態です。

 今回は、この現実を、TKC経営指標のデータを使って、検証してみました。

人件費が何%アップすると赤字になるか

 TKC経営指標(平成21年指標版)の業種別データを使って、平均的な黒字企業はどのような影響があるかを考えてみましょう。分析に使う業種別情報は、平均従事員数、平均売上高、一人当たり人件費(月)、売上高経常利益率です。

1)人件費アップ額は、一人当たり人件費(月)×人件費アップ率×12ヵ月×平均従事員数で人件費アップ額を算出しました。人件費アップ率は、全社人件費への影響が、社員構成やパート比率などで左右されますが、その明細はわからないので、影響が比較的低い程度であろう10%、15%、20%という3ケースで概算計算してみました。

2)赤字の基準を経常損益がマイナスになることとします。経常利益は、業種別の平均売上高×売上高経常利益率で求めました。

(1)人件費アップ額>(2)経常利益であれば、その時の人件費アップ率では赤字に転落するということになります。

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千賀秀信

せんが・ひでのぶ 公認会計士、税理士専門の情報処理サービス業・株式会社TKC(東証1部)で、財務会計、経営管理などのシステム開発、営業、広報、教育などを担当。18年間勤務後、1997年にマネジメント能力開発研究所を設立し、企業経営と計数を結びつけた独自のマネジメント能力開発プログラムを構築。「わかりやすさと具体性」という点で、多くの企業担当者や受講生からよい評価を受けている。研修、コンサルティング、執筆などで活躍中。大前研一のアタッカーズ・ビジネススクール講師。著書に『新版・経営分析の基本がハッキリわかる本』(ダイヤモンド社)、『経営センスが高まる! 計数感覚がハッキリわかる本』(ダイヤモンド社)、『「ベンチャー起業」実戦教本』(プレジデント社:共著)、『会社数字がわかる計数感覚ドリル』(朝日新書)などがある。
●マネジメント能力開発研究所のホームページ
http://homepage3.nifty.com/maneji/


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「計数感覚」とは、「会社数字と企業活動の関係を理解できる力」。ビジネスパーソンなら、ぜひ身に付けておきたいマネジメント能力だ。さまざまな事例をあげながら、計数感覚で経営を考えるノウハウを提供していく。

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