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計数感覚を磨けば経営力はアップする

削減が容易でないコスト、削減してはいけないコスト

千賀秀信
【第11回】 2009年10月1日
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 鳩山首相が気候変動サミットで表明した、温暖化ガスの中期目標25%削減目標に関連して、新たな企業と家計のコスト負担の可能性が話題になっています。前回取り上げた「最低賃金1000円が実現した場合の中小企業への深刻な影響を業種別に検証」でも、コスト増の影響はかなり深刻でした。

 今回は、コストの本質的な意味を考えながら、コスト増をもたらす経営環境への対応のポイントを考えてみましょう。

真に削減が容易でないコストとは何か

 すぐにでも削減できるコストとしてよく知られているのは、3K費と呼ばれる交通費、交際費、広告費です。これに光熱費と給与賃金を加えると5K費となりますが、光熱費は3K費と同様に削減しやすいコストになります。

 しかし、この1年で聖域の給与賃金にも削減の嵐がやってきました。給与賃金などの人件費は、本来、削減が容易でないコストの代表でした。正社員のリストラを行えば、かなりの抵抗と社会的な批判が待っています。非正社員の削減でも、派遣切りということばで社会問題化しました。人件費は容易に削減できない、いや、安易に削減してはいけないコストという認識が日本では一般的だからです。製薬会社などのメーカーでは、研究開発費も削減できないと指摘する人もいるでしょう。将来の利益を生み出す源泉だからです。

 しかし、経営者にとって、真に削減が容易でないコストは、人件費や研究開発費ではありません。昨年来の経済危機において、人件費や研究開発費は、経営者の決定で、短期的に削減可能でした。企業内部で決定できるからです。

 では、真に削減が容易でないコストは、何でしょう。

 それは、商品仕入原価、材料仕入原価、外注費などの本業に関連する直接費である変動費です。これらのコストの本質は、外部の利害関係者との交渉や経済環境の変化に依存し、経営者においても容易にコントロールできないという性格を持った費用だからです。(もしコントロール可能だとしたら、コストリーダシップがとれる一部の大手企業に限られます)

 これらを削減する場合、短期的な努力では削減できません。業務提携や経営統合によって規模を拡大し、部品の共通化で材料費の低下を狙う方法や、大量一括仕入れ、PB商品開発などによって商品仕入原価を引き下げる方法などを考えてみてください。直接費である変動費は、戦略的な取り組み、中期的な取り組みなくして、削減は難しいのです。

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千賀秀信

せんが・ひでのぶ 公認会計士、税理士専門の情報処理サービス業・株式会社TKC(東証1部)で、財務会計、経営管理などのシステム開発、営業、広報、教育などを担当。18年間勤務後、1997年にマネジメント能力開発研究所を設立し、企業経営と計数を結びつけた独自のマネジメント能力開発プログラムを構築。「わかりやすさと具体性」という点で、多くの企業担当者や受講生からよい評価を受けている。研修、コンサルティング、執筆などで活躍中。大前研一のアタッカーズ・ビジネススクール講師。著書に『新版・経営分析の基本がハッキリわかる本』(ダイヤモンド社)、『経営センスが高まる! 計数感覚がハッキリわかる本』(ダイヤモンド社)、『「ベンチャー起業」実戦教本』(プレジデント社:共著)、『会社数字がわかる計数感覚ドリル』(朝日新書)などがある。
●マネジメント能力開発研究所のホームページ
http://homepage3.nifty.com/maneji/


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