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莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

小惑星の接近撮影に成功した探査衛星
急速に進歩を遂げる中国の宇宙技術

莫 邦富 [作家・ジャーナリスト]
【第139回】 2013年1月24日
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 2年前の夏、富士箱根伊豆国立公園の一角にある伊豆・天城高原で開催された「天城会議」に出席した。そのとき、小惑星「イトカワ」を探査してドラマチックな地球帰還を実現した衛星「はやぶさ」の開発にかかわった技術者と、1989年から気仙沼に流れ込む川の上流にある山で植林活動を続けてきたNPO法人「森は海の恋人」の代表を務める畠山重篤さんの講演を聴かせていただいた。そのうち、「はやぶさ」の話が宇宙の神秘の一端を覗かせてくれた。

 2003年5月9日、鹿児島から打ち上げられた「はやぶさ」は、地球から約3億kmも離れた、直径がわずか540mの小惑星イトカワを探査する使命を受けていた。その「はやぶさ」は数々のミッションを達成したのち、化学エンジンの燃料漏れ、イオンエンジンの異常停止など、予期せぬさまざまな苦難を乗り越えて、ようやく2010年6月13日に満身創痍の状態で地球へ帰還した。

拡張ミッションを
成功させた探査衛星

 最近、中国からも同じく宇宙探査の神秘を覗かせてくれる話が届いた。月探査衛星「嫦娥2号」の予想外の長旅である。

 嫦娥2号はもともと同じ月探査衛星である嫦娥1号の予備機として、1号機のミッションが遂行できなくなったときに、それを補うための存在だった。しかし、2007年10月、嫦娥1号は無事、任務を終えた。それで、予備機としての嫦娥2号の任務は月探査プロジェクト第二期の先導機とし、月面軟着陸の鍵となる技術の検証に切り替えられた。

 2010年10月1日、新たな使命を担った嫦娥2号が月に向けて打ち上げられ、月軌道への直接投入や、Xバンド周波数帯での観測実験、月面の高解像度撮影などの任務を完遂し、同年12月、地球から38万km離れた月でのミッションは成功裏に終了した。そこで月の軌道から150万km離れたL2点を目指し、さらに遠方の宇宙探査をし、拡張ミッションを行うという新しい任務を与えられた。

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莫邦富(モー・バンフ) [作家・ジャーナリスト]

1953年、上海市生まれ。85年に来日。『蛇頭』、『「中国全省を読む」事典』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーに。そのほかにも『日中はなぜわかり合えないのか』、『これは私が愛した日本なのか』、『新華僑』、『鯛と羊』など著書多数。


莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

地方都市の勃興、ものづくりの精度向上、環境や社会貢献への関心の高まり…中国は今大きく変わりつつある。先入観を引きずったままだと、日本企業はどんどん中国市場から脱落しかねない。色眼鏡を外し、中国ビジネスの変化に改めて目を凝らす必要がある。道案内人は日中を行き来する中国人作家・ジャーナリストの莫邦富氏。日本ではあまり報道されない「今は小さくとも大きな潮流となりうる」新発見を毎週お届けしよう。

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