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山崎元のマネー経済の歩き方

成長のための資産運用の落とし穴

山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
【第119回】 2010年3月8日
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 リスクを取った資金も含めて、資金が民間のビジネスに潤沢に供給されるようになると、経済成長にプラスに働くだろう。この理屈はなんとなく正しそうな気がする。

 次に、だから公的年金の積立金のようなおカネを成長のための投資にもっと振り向けるべきだ、という話になるとどうだろうか。まだ正しいのかもしれないが、少し不安な感じがしないだろうか。

 たとえば、新たに基金をつくったり、年金の積立金の一部を別枠にしたりして、「成長戦略支援基金」のような名前をつけて10兆円ほど運用するのはどうか。

 まず、国内に「成長する」投資先はあるのだろうか。これはきっとあるのだろう。事後的には何かがあるはずだ。しかし、何が成長する産業であり、どこ(企業、プロジェクト)に、どのようなかたちで投資するのがいいのかを「今」決めるのは、きわめて難しい。

 また、仮に成長するビジネスがあるなら、国ではなく、民間がこれを見つけて投資するのではないか。見つけることができた民間(人、機関)がリスクを負って投資するのだから、彼らが収益を得ることでなんの問題もない。

 国あるいは国の配下に置く運用組織のほうが、幅広い民間の眼よりも早くかつ正確に有望なビジネスを見つけることができると想定するのは非現実的だろう。

 結局大切なのは、成長できる環境をつくることであって、公的な資金を投資することではない。

 では、国の機関が投資するのだから、経営のアドバイスをするなどビジネスの育成ができないか。

 しかし、ここでもビジネスの育成を民間よりも公的機関のほうがうまくできるか、という問題がある。加えて、国は産業を監督する立場だから、特定の産業や投資先企業を優遇していいのかという問題が生じる。たとえば、ライバル会社が持っていない情報を教えていいのか。産業の監督と育成を両方手がけるのは筋がよくない。

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山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役。


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12社を渡り歩いた資産運用の現場に一貫して携わってきた視点から、「資産運用」の方法をどう考えるべきか懇切丁寧に説く。投資家にもわかりやすい投資の考え方を伝授。

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