「あれ? いま何しようとしてたんだっけ?」「ほら、あの人、名前なんていうんだっけ?」「昨日の晩ごはん、何食べんたんだっけ?」……若い頃は気にならなかったのに、いつの頃からか、もの忘れが激しくなってきた。「ちょっと忘れた」というレベルではなく、40代以降ともなれば「しょっちゅう忘れてしまう」「名前が出てこない」のが、もう当たり前。それもこれも「年をとったせいだ」と思うかもしれない。けれど、ちょっと待った! それは、まったくの勘違いかもしれない……。
そこで参考にしたいのが、認知症患者と向き合ってきた医師・松原英多氏の著書『91歳の現役医師がやっている 一生ボケない習慣』(ダイヤモンド社)だ。
本書は、若い人はもちろん高齢者でも、「これならできそう」「続けられそう」と思えて、何歳からでも脳が若返る秘訣を明かした1冊。本稿では、本書より一部を抜粋・編集し、脳の衰えを感じている人が陥りがちな勘違いと長生きしても脳が老けない方法を解き明かす。

【91歳の医師が明かす】<br />医師が実践! 脳の健康を守る“簡単な気づかい”イラスト:chichols

オンとオフの切り替えで
認知症を予防する

【前回】からの続き 1人のジーパン愛好家としていわせてもらうなら、大切なのはオンとオフの切り替えだと思います。ジーパンは単なる作業着を超える万能選手的な存在になっています。それでも、たしかにハレの場には、それにふさわしい装いがあります。

認知症予防を意識するなら、オンとオフでの装いの切り替えにより、「交感神経」と「副交感神経」のスイッチングをして、脳の活性化につなげましょう。交感神経と副交感神経は、心身を自動的に整えている自律神経です。両者の働きは対照的であり、一方が優位になると、もう一方の働きは抑えられるという関係にあります。

緊張する場面(オン)では交感神経、リラックスする場面(オフ)では副交感神経が優位になるのです。

自律神経のスイッチングと
脳を活性化する簡単な気づかい

若い世代には、「ワンマイルウェア」と称して、コンビニやカフェなど自宅からワンマイル(約1.6km)程度の生活圏なら、部屋着の延長線上にある気軽な服装で出かけるスタイルが浸透してきています。

しかし、部屋着と外出着ははっきりと分けてほしいところです。それが自律神経の切り替えと、脳の活性化の一助となるからです。加えて、コロナ禍以降は、帰宅後に着替えることは、外出着についているかもしれない危険なウイルスを室内に持ち込まないためにも、重視されるようになっています。

新型コロナなどの感染症を予防する意味でも、TPOに応じた外出着と部屋着の切り替えは、ぜひ実践するようにしてください。

※本稿は、『91歳の現役医師がやっている 一生ボケない習慣』より一部を抜粋・編集したものです。(文・監修/松原英多)