伊勢丹Photo:PIXTA

コロナ禍の収束を待たずに、今度は資源・コロナ禍から企業が復活するのは一体、いつになるのだろうか。上場100社超、30業界を上回る月次業績データをつぶさに見ると、企業の再起力において明暗がはっきりと分かれている。前年同期と比べた月次業績データの推移を基に、「嵐」から「快晴」まで6つの天気図で各社がいま置かれた状況を明らかにする連載「コロナで明暗!【月次版】業界天気図」。今回は、7〜9月度の百貨店編だ。

三越伊勢丹、高島屋、大松松坂屋…
7~9月は前年同月比2桁増の好業績だが

 百貨店の主要4社が発表した7〜9月度の月次業績データは、以下の結果となった。

◯三越伊勢丹の既存店売上高
 7月度:前年同月比120.7%(20.7%増)
 8月度:同148.3%(48.3%増)
 9月度:同127.9%(27.9%増)

◯高島屋の国内百貨店売上高
 7月度:前年同月比111.1%(11.1%増)
 8月度:同125.7%(25.7%増)
 9月度:同123.6%(23.6%増)

◯大丸松坂屋(J.フロント リテイリング)の百貨店事業合計
 7月度:前年同月比111.7%(11.7%増)
 8月度:同127.4%(27.4%増)
 9月度:同118.3%(18.3%増)

◯阪急阪神百貨店(エイチ・ツー・オー リテイリング)の既存店売上高
 7月度:前年同月比109.9%(9.9%増)
 8月度:同142.5%(42.5%増)
 9月度:同136.1%(36.1%増)

※屋号変更の影響で19年10月〜20年9月のみ開示があった「既存店売上高」の指標をベースにしているため、20年10月以降は「全店売上高」を便宜上「既存店売上高」と表記している。

 22年7~9月の実績を見ると、今回取り上げる4社全てが、3カ月連続で前年同月を上回っている。しかも、7月の阪急阪神百貨店の既存店売上高を除けば、全て2桁の増収となった。

 ただ、これまでも本連載で指摘してきたが、22年の実績を21年と比較すると、新型コロナウイルス禍で落ち込み過ぎた分の反動増で好業績に見えている場合が少なくない。そこでコロナの影響を取り除いた「実態値」を探るべく、コロナ禍の影響を受ける前の19年の同時期の業績と比較してきた。

 だが、百貨店に関しては、業界特有の「特殊事情」によりその方法での分析が難しい点もある。次のページから詳しく解説していこう。