自分たちの経験が
有益な「情報」となる

 マンションの管理組合同士が交流するメリットはどこにあるかといえば、何よりも「情報」の共有ができることだ。

 インターネットやSNSの普及によって、今はさまざまな情報を簡単に入手することができる時代である。しかし、マンションの管理組合の詳細な情報は、そう簡単にネット上にアップされることはない。防犯やプライバシーなどの観点から、地域や場所の特定につながるような情報を誰の目にも触れる場所へ出すことに抵抗を感じるというのが、理由の一つと思われる。

 詳しくは後述するが、当社では管理組合の理事を対象にした交流会を開催している。毎回多くの方が来場するが、どの会でも決まって「ほかのマンションでは、どんな管理を行っているのか?」「どのような運営をしているのか?」というような質問が多数寄せられるのだ。そのことからも、欲しい情報になかなか行き当たれない実情が見て取れる。

 調べてみれば、行政や地域で結成されている管理組合の連合やネットワークがあったり、ネットやSNSを利用するなどして交流を図っているマンションもわずかながら存在する。しかし、前述のように、世の中のほとんどの管理組合は、管理組合同士の交流もなく、簡単に得られるネット情報にも行き当たれずに、孤軍奮闘している状況といえる。

「マンションの規模や状況は千差万別なのに、管理組合の情報を共有することにどんな意味があるのか?」と思う方もいるかもしれない。たしかに、マンションごとにさまざまな違いはあるが、管理組合としての活動自体にそう大差はない。

 たいていのマンションは管理会社に管理を委託しているし、たとえ自主管理のマンションだったとしても、駐車場やエレベーターの保守、大規模修繕工事などは実施する。また、どんな管理方式のマンションでも通常総会は必ず行う必要があるなど、管理組合の基本的な運営内容は共通することが多いのだ。

 たとえば、これまでに自分たちの管理組合が行ってきた活動の経緯や、マンションの維持・管理の方法、あるいは大規模修繕工事を経験している管理組合なら、管理会社とのやりとりから各業者の選定、工事の実施にいたるまで、それらをどのように進めてきたかというような情報は、ほかのマンションの管理組合にも参考になるものだ。

 特に、大規模修繕工事や管理委託費の見直しなどを実施したことのある管理組合の経験は、後進の管理組合にとっては非常に有益な情報になる。