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森信茂樹の目覚めよ!納税者

金持ち優遇、それとも格差是正?
アベノミクス「税制」の評価と課題

森信茂樹 [中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員]
【第43回】 2013年2月1日
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  去る1月24日自民・公明の与党両党が、税制改革大綱を決定した。「アベノミクス税制改正」は、公平と活力のバランスに配慮した内容となっている点は評価できる。だが、今後の課題は、法人税改革と所得税改革であり、負担の構造を変える税制改革こそが究極の成長戦略となる。     

分配面への配慮は評価

 先進諸国の経済統計を分析してみると、政府の規模が大きいほど所得再分配が進み格差は小さいこと、格差が小さいほど経済成長が高いこと、政府の規模が大きいほど財政赤字も少ないこと、という事実が分かる。

 このような目で平成25(2013)年度税制改正をみると、所得税・相続税の負担増を3党合意にそって、誠実に履行した点がまず注目される。

 これまでの消費税導入時や税率の引き上げ時が、所得税や相続税の減税とセットであったことを考えると、今回消費税率を引き上げる際に、所得・資産に余裕のある者に負担増を求める、つまり増税するというのは、きわめて異例のことであることがわかる。

 これは、わが国の最大の課題の一つが格差問題であること、これ以上格差を拡大させないことが、経済成長や財政赤字にプラスの影響を及ぼすことを考えると、評価すべき税制改革だ。

 もっともこれは、アベノミクス税制改革というより、「野田民主党政権の最後の置き土産」というほうが正確かもしれない。

マイナンバーの導入を急げ

 一方でアベノミクス減税は、デフレ脱却のためにはあらゆる手段を導入するという、きらびやかな内容のものである。その中身をみると、執行面で公平性が保たれるかどうか、疑問符のつくものも見受けられる。

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森信茂樹 [中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員]

(もりのぶ しげき)法学博士。東京財団上席研究員、政府税制調査会専門家委員会特別委員。1973年京都大学法学部卒業後、大蔵省入省、主税局総務課長、東京税関長、2004年プリンストン大学で教鞭をとり、財務省財務総合研究所長を最後に退官。その間大阪大学教授、東京大学客員教授。主な著書に、『日本の税制 何が問題か』(岩波書店)『どうなる?どうする!共通番号』(共著、日本経済新聞出版社)『給付つき税額控除』(共著、中央経済社)『抜本的税制改革と消費税』(大蔵財務協会)『日本が生まれ変わる税制改革』(中公新書)など。
 

 


森信茂樹の目覚めよ!納税者

税と社会保障の一体改革は、政治の大テーマとなりつつある。そもそも税・社会保障の形は、国のかたちそのものである。財務省出身で税理論、実務ともに知り抜いた筆者が、独自の視点で、財政、税制、それに関わる政治の動きを、批判的・建設的に評論し、政策提言を行う。

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