既成政党が求心力低下に直面、全国で進む「保守分裂」の危機11月27日に実施された和歌山県知事選で圧勝した元衆院議員の岸本周平(中央)。その背景には、自民党に限らず既成政党の求心力の衰えがある Photo:JIJI

 来年4月に予定される統一地方選挙を前に、全国的に有権者の意識に変化が起きている可能性がある。それを強く感じさせたのが12月4日に投開票された東京・品川区長の再選挙だ。結果は無所属の新人、元都議の森沢恭子(44)が勝利した。

 森沢は元日本テレビの政治部記者で小泉純一郎の首相番を経験している。2017年の都議選で東京都知事の小池百合子(70)が立ち上げた「都民ファーストの会」から立候補し、定数4の品川区でトップ当選。その後、都民ファを離れたが、21年都議選も無所属で再選を果たしている。

 品川区は衆院の小選挙区でいえば東京3区に当たる。現職は立憲民主党の松原仁と比例代表で復活当選した自民党の石原宏高。しかし、区長選では松原、石原が支援した候補はいずれも森沢に遠く及ばなかった。松原は森沢の勝因を「トップ得票効果」との見方を示す。品川区長選は10月の選挙で6人が立候補し、誰も法定得票数に達せず再選挙に持ち込まれた。

 再選挙でも6人が立候補。「再々選挙」の見方も出るほどの混戦が予想された。

「区民の間に『再々選挙だけは何とか避けたい』との思いが強まり、10月選挙で最も多く得票した森沢氏に票が集まった」

 これが松原の分析だ。確かにそういう面も否定できないが、それだけではないだろう。自民党で長く選挙戦略を担ってきた選挙のプロは違う見方を示す。